首－4－

drrr!!　静臨です（前の拍手です）
『Ich mag es nicht』の臨也Ｖｅｒ．
シズちゃんＶｅｒ．書いてるときに脳みそにあったのでさらさら～っと書きあがりました。
若干別人？（汗）　　




 

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『Non mi piace』



嫌いだよ。

折原臨也が気分を荒げる事は稀だった。
なにぶん様々な事を器用にこなすことのできる彼には
苛立つような出来事はあまりなく、
それ故、歪んだ人間愛に目覚め日々研究を続けている。
この素晴らしき世界に、
唯一嫌いな人間である平和島静雄に因ってもたらされたイレギュラーでさえ、
そこまで感情的になるほどの力はなかった、はずだった、今の今まで。



黒塗りの車の中で、ニヤリと笑った。
相手も気持ちが悪い蛆虫みたいな顔で笑った。
虫酸がはしる。
早く出すものを出して終わらせてよ。
そう思ったのを察したかのように、隣の男から受けとった封筒を俺の目の前に出した。
厚さ3センチといったところか。
中身は生活必需品。
もうちょっとはずんでもらっても構わない情報のような気もするが、
まぁいいか。それで手をうっておこうか、今のところは。
早く退散したいしね…。


どうも、と一声かけて車を降りた。
走り去る車を見送ってから、さてと…とちょっとだけ考えてから、
帝人くんの所にでも遊びにいこうかと歩きだして少し経った頃、
遠くから赤い物体が飛んでくるのを察知した。

今日はコ○・○ーラの自販機かぁ…。
シズちゃんってどれだけ天下のコ○・○ーラに喧嘩売ってるんだろう…。
壊した自販機の全部を弁償するとなったら、
シズちゃんが半年？否、1年？血みどろになりながら働いてやっとくらい？
シズちゃんのおぞましく汚れてるだろう内蔵を売ったとしてもまだ足りないな、うん。
どれだけ残念なシズちゃんでもそれくらいわかりそうなものに
どうして同じ行為を何度も繰り返すんだか…。
これだからシズちゃんは大嫌いだ。
さ、でも面白いから逃げよう。


「手前、何でここに居やがるッッ！」
「別にぃ。シズちゃんに会いにきたわけじゃないよ。
　ちょっとした仕事があってねぇ。
　あ、今回はシズちゃんには全然ま～ったく関係ないコトだから
　そんなに気にしないで欲しいなぁ。
　取引先さん悦んでたよ？
　こんな善い事してる俺に酷いコトするよねぇ、シズちゃん」
「手前の善い事なんざロクでもねぇことに決まってる。
　どうでもいいから早く死ね！臨也」


うわっ酷い、それはこっちのセリフだよ、シズちゃん。
次から次へといろんなモノが飛んでくるけど、残念、全然あたらないよ？
笑いながら避ける。余裕を持って。
シズちゃんの馬鹿力は“馬鹿”力だけあって読みやすい。
というか真っ直ぐしか飛ばない・飛ばさないから。
それって何？
コントロールしてるわけじゃないよね？
それとも当たらないようにしか投げられないの？
最悪。
意味のわからない感情とか向けてこないでよ。
吐き気がするよ、まったく。

なるべく最小限の力で障害物を避けていたけど、
そろそろ疲れてきたし撒かなきゃなぁ。
今日はどのルートで行こうか。
あ、でもその前にシズちゃんにとっておきをプレゼントしなきゃね。

「それにしてもシズちゃんってば俺のコト、ホントに好きだよねぇ。
　人間の視野って片目で約160度、両目だと200度くらいって言われてるけど、
　さっきのは確実に230度くらいはあったと思うよ。
　しかも裸眼じゃなくシズちゃんサングラスかけてるじゃない？
　それで見つけられてるんだから、もうこれは恋？！
　いや愛！愛の力としか言いようがないよね。
　実に気持ちが悪い。実に気分が悪い。反吐が出る。
　その鬱陶しいストーカーみたいなネトネトしたモノを
　他のコトに集中してみれば、いや、できればの話、
　シズちゃんもやっと世の中に貢献できると思うんだけど？」

シズちゃんの暴力は、沸点を振り切ってしまうと熱くも冷たくもならない。
ただただ、自分が一段落するまで続く。
けれど相手に挑発されると、僅かに熱は上がって一瞬の隙ができる。
その隙を見逃さないようにすれば、シズちゃんから逃げるのは簡単だ。
さ、あの路地曲がって……。

風を切る音がした。曲がった瞬間に、たぶん手前にあったポストかな。
よし！当たり！臨也くん大正解！
と、これが最後だと気が抜けていたのか、それとも逆に力んでしまったのか、
ポストを避けた体はいうことをきいてくれなかった。
うわっヤバい。
自滅って何だ…格好悪りぃ…。
打撲の痛みを覚悟した、のに…
気がついた時には腕を引っ張られてシズちゃんに引き寄せられていた。

…何コレ。…？…抱っこ？

間近で見たシズちゃんの顔は端整な面立ちで、
幽くんより先にスカウトされただけあって、
格好いいってこれですよーっていう顔で…。
腰に回された腕が細いけど逞しくて、頼りになる腕で…。

まったく意味がわからない。
頭が回らない。
気に食わない。
ムカつく。

「馬鹿力と頑丈さに俊敏性まで加わったら最凶じゃない？
　吐き気がするね、シズちゃん。
　サイアク」

そう言ったら、シズちゃんは助けたくせに、俺に頭突きを食らわせた。
いや、助けたことが異常なんだから、頭突きは正常か。
にしても、痛い！痛いよ！シズちゃん！


暫く、鈍痛で放心していたけれど、そのうち飽きてその場で身を起こす。
おでこを触ると一瞬に痛みが走った。
そこにはでっかいたんこぶ。
久々かもしれない。
…それにしたって何だった、さっきの。

気持ち悪い。気持ち悪すぎる。

…これは新羅に慰めてもらい（からかい）に行こう。
そう思って立ち上がってコートの埃を払う。
携帯、財布、ナイフよし。
それにしたってシズちゃんなんて


嫌いだよ。