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先に…、すみません。
-触れたい、抱きしめたい-
◇ ◇ ◇
同じ天井。
同じベッド。
包帯を巻かれた体。
頭痛。
全身から上がる悲鳴。
夢を見ているように思う。
どこからが夢でどこからが現実なのか。
境目が判別できない。混濁。
時間の感覚は疾うに失われていて、
あれからどれだけ経っているのかわからない。
ここで最初に目覚めた日から、
アキラの生活は寸分も違わず、同じことの繰り返しだった。
無理矢理眠りから覚醒させられた後、
斬られ、抉られ、啜られ、衝かれ、揺さぶられ、
ほんの少しの悦びを与えられて、治療を施される---。
いっそのこと、狂ってしまいたい。
箍を外してしまえばいいことだ。
自分を楽にしてやればいい。
けれど、片隅から聞こえてくる声は、
アキラが屈服することを止しとしなかった。
薄い脆い硝子1枚で、アキラという『人』は繋ぎとめられている。
決して、自分を自由にはしない、誰であろうと自由にはさせない。
グンジによって繰り返される行為。
それに屈するなど絶対に嫌だ。
相手は処刑人だ。
飽きる時はずぐに訪れるだろう、その機会を待つ。
その好機を待ってそれを逃さない。
もし逃げ出すことができなくとも、
散ってしまうとしても、直前まで自分では手折らない。
これまで何も拘りもなく生きてきた、生きすぎていた。
生きることも死ぬことも同じ。
そう思うことは変わらないけれど、
他人に自分の生き死を押し付けられるのは堪えられない。
アキラを支えているのはその想いだけだった。
細く、脆く、張り詰めた糸。
朦朧としていても、いつの間にかシーツをきつく握り締めていた。
手を解き、ふっと触れた布。
……。
その柔らかさに何故か泣きそうになり、
顔に腕を乗せてアキラはそれを遣り過した。
◆ ◆ ◆
無様に躓きながら息を乱し逃げ惑う男。
それを何でもないように平然と息を切らせることもなく追い詰める。
面倒だと思い、一気に踏み込んで蹴りを入れる。
前に倒れた体を瞬時にもう一度蹴り、迷わず鉤爪を斜めに走らせた。
断末魔を上げて、何度か痙攣した後に男は動かなくなった。
その様子をつまらなそうに見下ろすグンジがいた。
「・・面白くも何ともねぇ・・・・」
吐いて捨てる。
処刑人の感情、その波の起伏はないに等しい。
何をしていてもどんな状況下においてもフラットな状態。
嬉嬉(鬼気)として猫と戯れる-いたぶり殺すのを楽しむ-
それは日常的なことであって、愉しんではいるけれど、
中を覗けば多少振れるくらいにしか動いていない。
それが顕著に現れているのがキリヲ。
キリヲとグンジ、見た目の違いは明らかだが、
雰囲気が違うのは、グンジが大袈裟に声を張り上げ喋る、叫ぶ、笑う、
それをするからであって、大して中身は変わりはしない。
その処刑人であっても
纏うのがいつも緩い空気で判別は難しいが、
気分が乗る、乗らないはあるらしく、
今日のグンジは『乗らない』様子だ。
獲物狩り-仕事-を終え、猫との遊びに興じた後、
いつものように猫を抱えてアルビトロの所へ出向いてやった。
不機嫌そうに眉根を顰めグンジを見たアルビトロは、
部下に道具や部屋の指示を出したが、
グンジに向けて治療は今後二度と行わないと告げた。
「はぁぁあ?せっかくビトロに頼んでやってるーっつのに、何でだよ」
「私はそれの主治医ではない。私は忙しいのだ。
これ以上、無駄に割く時間はない。後はどうにでもするのだな。
そして名前を短縮するな」
「・・・知らねぇよ、んなこと。早くしろよ」
「・・もう次はないからな」
そうしてまたいつもようにアルビトロが治術をしている間、
グンジは退屈そうにそれを見ていた。
狗-カウ-がグンジの足元で遊んで欲しいと言ってるように
顔を押しつけていくるので、撫でてやる。
けれど、グンジが遊びたいのはあの猫であって狗ではない。
暫く放っておくと、狗は主の側へ這って行き、
アルビトロの足に顔を寄せた。
「もう暫く待っておくれ」
優しくアルビトロが言うと狗は大人しくそこ場に寝転んだ。
瞳を細くして、愛しむように狗を見たアルビトロは、
前で大きく欠伸をしながら伸びをしているグンジに話かける。
「お前も私が狗にするように優しく可愛がればいいのだよ」
「・・あぁ?・・・」
「そうすれば、このような治術をしなくとも済む。簡単なことだ」
「・・・バァカ。ンなの、ちっとも面白くねぇよ」
グンジは顔を歪ませてあからさまに不機嫌な顔を見せるが、
それを見たアルビトロは不気味な含み笑いを浮かべて、
眼下の猫を舐めつくすように見た。
「・・二度と治療はしないが・・・・、
面倒だと言うのならば、これを私が貰い受けてやってもいいが?」
「・・・・意味わかんねぇフザケタことばっか言ってねぇで、
早くそれ、終わらせろ」
凄んだグンジに気圧されることなく、アルビトロは
「いつでも待っているよ」とまた笑ったのだった。
ムカつく。
ねちっこい蛇みたいな目で見やがって。
弱いくせにエラソウにすんなっつーの。
心がざわついたまま部屋に戻ると、
いつもより乱暴に猫をベッドに投げていた。
猫はくぐもった声を上げて顔を顰めた。
それを見たグンジは、ますます苛ついた。
勝手に体が動いて『城』から飛び出して走った。
途中でキリヲを見つけ、すれ違い様に鉤爪を振るった。
勿論それをキリヲは避け、後ろで何か叫んでいたが、
かまうつもりはなく、そのまま走った。
通り過ぎようとしていた路地から気配を感じてグンジは漸く止まる。
その方向に進んでいくと、
ギャラリー無しでイグラを仕掛けていた男を見つけた。
グンジの瞳は隠れて見えないが、大きな口の端が上がった。
「なぁーにやってんの、っかなぁ~?」
男はグンジを見ると、挑戦的な目を向けた。
その瞳は濁っている。
ヤク中か…、でもちょっとは愉しめるか?
ますます笑みを濃くして、グンジはゆっくりと近づいていった。
のだか…、2・3度ナイフと鉤爪が交わった後、
ラインで侵されていて飛んでいるのにもかかわらず、
中毒者の男は勝てないと踏んだのか、その場から逃げ出した。
男を踏みつけて座り、いつもの癖で鉤爪を舐める。
「・・、不味い、臭い・・・」
項垂れていると、後ろで鈍い音がした。
後頭部にいつもの感触。
キリヲの鉄パイプ-ミツコさん-が振り落とされていた。
「・・・・ッ、がぁぁあ!・・ッてーぇ!!!!
ジジイ、何しやがる!」
「そりャーこっちのセリフだァ・・」
「何にもしてねぇだろーがよー!!」
「脳ミソ足りねぇからって、調子にのるんじゃねぇぞ」
語尾を伸ばす特徴のある口調でキリヲは言い、
毎度毎度の笑っているような、
睨んでいるような読めない顔でグンジを見下ろしていた。
どいつもこいつも意味がわかんねぇ…。
考える、
-経験や知識を基にして未知の事柄を解決(予測)しようと頭を働かせる-
という作業をグンジはしない。
思いついたことだけ、そのまま行動する。
考えてから行動を起す、
そんな風に教えてもらったことなど、一度もない。
ただ、人を殺す方法、敵を確実に仕留めるためにはどうすればいいか、
人間の急所-体の仕組み-、人間の心理、拷問の方法、
ありとあらゆる武器の扱い方、それらのみを教え込まれてきた。
生まれたときから。
この国、国を操る者の身勝手な思想によって。
何かを選択する、それは許されてはいなかった。
目の前に敵がいればそれを殺す、それのみ。
自分を生かす為などではない、命令だから、そうしろと教わったから。
そしてそれに反発しようと思ったことがない。
それより先に人を殺す快感を覚えた。
人間-弱者の絶叫と血、愉しくてしようがなかった。
そうなった日から、否、最初からグンジは、そう、だった。
愉しければそれでいい。それだけで日々を送っている。
そのために、グンジはキリヲと共にあり、アルビトロに雇われている。
探ろうとしない、それ故、
グンジは自分が何について苛立っているのか、
自分の中の衝動はいったいどこからくるものなのか、
見当のつきようがない。
そして、グンジは体と殺人についての技術と知識、
その2つは規格外までに成長し吸収したが、
中身は人間-理性と倫理感のある物体-になる前の子ども、そのもの。
それが余計に自体、事態を判らなくさせている。
「なー、ジジ」
「・・ァア?何だぁ?」
「・・・・面白くねぇよな」
「・・ア?何がだ?」
「・・・・、面白くねぇ~」
キリヲに小突かれた後、いつもであれば
まだ喚き散らしているはずのグンジが、
今日は俯いて同じ言葉をただ繰り返す。
ついにイカれたかァ?
イカれているヤツがそれ以上、イカれようもねェよなァ…。
「・・・、そうだなァア・・」
何かに納得したキリヲは、ダルそうにグンジに言ってやる。
少しの沈黙のあと、
グンジは顔を上げ、そうだよなぁと口角を片方だけ上げた。
目元は相変わらず見えないが、きっと爛々としている。
突如として空気と表情の変わるグンジに、
驚きも戸惑いもなく、キリヲは緩慢な動きで来た道を引き返した。
メシだ、猫だ、帰ろう。
グンジも立ち上がり、キリヲの後を追った。
表に出ると、イグラの参加者たちが
二人の姿を見た途端に各々畏怖の念を抱いて、体を強張らせた。
キリヲとグンジはそんな周りの様子に構うことなく、
ゆっくりと『城』に向かって歩く。
帰ったら猫は起きているだろうか…?
今度は何をして遊んでやろう。
少し前に感じた苛立ちをグンジはすっかり忘れている。
底に穴が開いている鍋と同じ。
詰まったモノも少しずつ漏れて中身がなくなる。
それが消えていることも、気が付いていない、気にしていない。
何も解決してはいないのだが、それも…。
「・・・そういや~ァ、・・・オイ、ヒヨ、あのゴミ拾ってきたか?」
「あー?後でいいんじゃね?」
「オマエ、一人で行って来いよ」
「・・・・ウザイ、マジウザイ・・」
手を頭の後ろに回し、のんびりと歩くグンジ。
鉄パイプを肩に乗せて、のんびりと歩くキリヲ。
いつもの処刑人がそこにいた。
お題を消化できているのか、いないのか。げふっ、ごふっ…。無意識に猫-アキラのことを考えるグンジの思考は、通常?の人が考える「触れたい、抱きしめたい」と同じだと思っているのですが…。進んでいるようで、進んでいなくてスミマセン。
あ、1.でグンジが「惚れる」とか言ってますが、アレはただ単にグンジがそういうことを言いたかった、言ってみたかっただけで、中身ありませんので、悪しからず。
02 | 2025/03 | 04 |
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基本、ユルいです。
ギ/アス猛烈愛
ルルは右属性です。
女子相手でも右です。
言ってしまえば、総受です。
スザルル・シュナロイを取扱中です。
BLゲーム 咎狗の血
シキアキ&グンアキ愛
グンジが可愛くてしょうがありません。
グンアキを取扱中です。
drrr!!(現在アニメのみ)好きww
シズちゃんがすごくすごく好きです。
けれどdrrr!!はみんな好きだ!
静臨を取り扱い中です。
バンギャ?であったりします。
月と海の四弦さん好きです。
虹の歌うたい(ちっちゃいおっさん)が
世の中で一番好みです。
づか好き芝居好きです。
づかはどの組の大劇にも1回は出没します。