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版権二次創作を含んだ非公式ファンブログです。各版権元様とは一切無関係です。コードギアス、咎狗の血、デュラララ!!、その他について書き散らしております。え゙…と思われる方は、×(ぽちっと),←(ぽちっと)でさよならして下さいませ。
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いやはや(苦)




-唇開いて名前を呼んで-


人間というものは、弱く、だからこそ強い。
体を進化させ、脳を働かせ、文明を築き、
天災や病気に打ち勝ち、今日まで生き残ってきたのだ。
争いの絶えない醜い歴史も、だからこそ生まれた。

人は人として産まれ、生きることになった時点で不幸である。
そんな思想がある。
生まれさえこなければ、
この世に存在する他者や感情、
あらゆるものに左右される事もなく、
望む望まないに関係なく、
醜く年老いて死んでいくのを待たなくてもいいのだ。
古い古い昔、とある皇帝は自分の死、老いに恐怖し、
不老不死の妙薬を求めた。
どれだけ強大な力を持ち、どれだけ有能な者-知識-を集め、
どれだけ勇猛な兵士を抱え武装し、世の中の誰よりも富と名声を得ても、
渇く感情、死と老いを止められはしなかった。

人間は、弱い。
だからこそ、人間は強い。


 ◇ ◆ ◇

治術をされたアキラが2度目に目覚めた時、
部屋の主-グンジはまだ戻ってきてはいないようだった。
顔を動かして確認する。
ぼんやりとした頭で天井を見上げると、
今までのグンジの仕打ちがまた蘇った。
決して諦めないとアキラは思っている。
けれど…。
グンジのやる事を享受したことはないが、
段々と悔しいと思う心が回数を重ねる度に弱くなっている、
そんな気がする。
思ってしまった後は、強く否定して自分を叱咤する。
体力も気力も削られ、心でさえ奪われようとしている。
我慢ならない。
それを許してはいけない。
囁きを逃さずに、アキラは必死に堪えていた。

部屋の外からゆっくりとした足音と共に騒がしい声が聞こえてきた。
妙に甲高い声と、ぐもった低音の声。
処刑人たちが帰って来たのだ。
アキラの体が一瞬にして強張る。
そこへ派手な音を立て、グンジが部屋に入ってきた。

「あ~、食ったくったぁ・・」

暢気な声が聞こえてきたが、
それで警戒心を削ぐわけにはいかない。
……。
アキラは寝たふりをするか、そのままでいるか、
どちらを選ぼうかと考えるが、
グンジ相手ではどちらも結果は同じことであることに思い当たり、
目を開けたまま、近寄ってくるグンジを待った。

「あー・・・子猫ちゃんがおっきしてる」

アキラの寝ているベッドから
グンジの立っている場所まではまだ距離があり、
顔を確認する事はできない。
それでもグンジはアキラが起きていることが判ったようで、
後ろに纏められた髪を解きながら、アキラの足元まで寄ってきた。
髪を束ねていたゴムを器用に指でアキラの上に飛ばす。
遊ばれていることに怒りを感じて、
それを払い除け、アキラは真っ直ぐグンジを見て睨んだ。
グンジの前髪の隙間から覗く、狂気を宿した目が輝く。

「・・誘ってんの?猫ちゃん・・・食後の運動ってな~」

挑んでくるものは、片っ端から食らう、喰らい尽くす。
それが処刑人。
わかっているのにそれでも挑もうとする。
おもしれーよなぁ。
そう、だから気にいった。
濁った目ではなく、透過性のある瞳-その瞳を通せば薄汚れたもの、
すべてが光り出すような-でこちらを真っ直ぐ見る。
最後の足掻きでもあるだろうが、
それでも、強く、恐れない、諦めていない眼差し。
獣の前に立っても平伏すことなく気高さを持ち続ける、本物の猫。
ふと、グンジの中に何かが広がる。

……。
・・・気持ち悪ィ。
心地の悪さに顔を顰めて、それを引きずったまま
グンジはアキラを覆っている薄い毛布を自らの足元に引っ張り落とした。
アキラは一瞬目を瞠り、上肢を起してグンジとの距離を取ったが、
それでも目を逸らすことをしなかった。
……。
放たれる澄み切った青。
なんでもないグンジを煽るだけの視線であるはずなのに、
怒り、焦燥で混濁した蒼が足元からゆっくりと侵食してくる。
何かが。
見るな!
衝動が起り、素早い動きでベッドに乗り上げたグンジは、
力任せにアキラの胸の包帯に目掛け蹴りを放った。

「・・ッッ!!・・ッ」

苦悶の表情を浮かべ、アキラは前のめりに倒れこむ。
包帯には血が滲み始めている。
それを見たグンジにまた衝動が起る。
違う……、どこからか声が聞こえた。
気持ち悪さが全身に広がっていくようだった。
グンジはそのままベッドの上にへたりこんだ。
えもいわれぬ気味の悪さに、初めてのそれに犯されていく。


アキラの傷はジンジンと熱を持ち、痛みは引かないが、
目を閉じてじっとしていると少し落ち着き、思考が働くようになった。
あの一撃の後、グンジは次を仕掛けてこなかった。
……。
疼く傷を庇いながら身を起すと、意外なほど近くにグンジがいた。
けれどグンジは身動き一つせず、そこにいる。
ただでさえ普段から目元を隠している長い前髪で、
下を向いているグンジの表情はより読み取れない。

震えている…?
体自体は震えてなどいなかったが、アキラはそう感じた。
何故。
グンジは、先程まで狂気を隠そうともせずに
アキラを弄ぼうと、暴力を振るおうとしていたはずで、
射竦めるような視線を寄越していた。
一度蹴るくらいで済まなかったはずなのに、
それ以上は何もせず、こうして蹲っている。
突然の変化。
何がグンジをそうさせたのか。
何がグンジをこうさせているのか。
2つの疑問を解消させようにも、アキラはその材料を持ち合わせてはいない。

……。
それよりも今は、ここからグンジから逃げ出す好機ではないのか。
確かに傷は痛むが、逃げ出すくらいはできそうだ。
目の前のグンジは、グンジの空気は
息をしているのかもわからないほど静かで、恐怖を誘うものではない。
何も仕掛けてこない今ならば…。
思うのに、アキラの体は動かなかった。
来るべき機会を逃すなど、これ以上に馬鹿げた事はない。
しかし、動けなかった。
トシマという非情な街で、イグラに参加している者として、
情など必要ない。
頭では理解しているはずなのに、
相手は畏怖されている処刑人-グンジであるのに、
震えているグンジを放っておけなかった。
グンジが何を感じてこうなったのか、
アキラには見当もつかなかったが、このまま立ち去る事はできなかった。

しかし、留まるにしても、
アキラはこれから何をどうすればいいのかが判らない。
……。
とりあえず、グンジに意識を取り戻させることが必要だろう。
そうすれば疑問も解消されるかもしれない。
おずおずと声をかける。

「・・・、おい・・。
 ・・・、おい・・。
 ・・・、オイ、アンタ。
 オイ、・・・ッッ、・・グンジ!!」

全く反応しないグンジに業を煮やしたアキラは声を荒げて、
無意識にグンジの名を呼んだ。
そこで漸くグンジの体がぴくりと動いた。
何故か安心した。
グンジの体から溢れていた恐怖にも似た
痛みを含んだ空気が少しだけ消えた、ような気がした。

ゆっくりと顔を上げると、猫がこちらを見ていた。
それは先程見たあの青と同じだが、穏やかな青だった。
衝動は起らなかったが、あの気持ちの悪い感覚はまだある。
けれどもそれを上塗りするように、別の何かがまた生まれた。
似ているような似ていないような、
それでも、その前の感じよりもずっとマシだった。

こちらを見て、何も喋らないグンジの腕が急に伸びてきた。
アキラがそれを避けようとするより早く、
グンジの手はアキラの足首を捕らえて引き摺り、引き寄せる。
抗おうしたアキラは横向きになりもがくが力では敵わない。
そして足首を圧迫していた力がなくなったかと思うと、
グンジはアキラの胸元に顔を寄せてきた。

「・・きもちワリィ・・・・・」

そう一言呟いた後、アキラを抱え込むように腕をまわし、
滲み出た血を舐めてからグンジは目を閉じた。
何をされているのか…。
理解できないまま、言葉が口から突いて出た。

「ッ・・、放せッ!!」

聞こえたはずだが、アキラを抱く腕の強さは変わらない。
グンジはまたそのまま動かなくなった。
アキラは恐る恐る顔を下に向けてグンジの顔を見た。
眉間に皺が寄り、けっしていい表情ではなかったが、
感じる空気はそれほど悪いものでもなかった。
それでも、アキラは腕を解こうと試みようとしたが、
グンジの腕はどうにも動かせない。
困惑。
……。
諦めるしかない。
グンジの理解できない行動にまた疑問が生まれたが、
聞いた所で返答は望めないであろうし、
アキラ自身も聞いたとて、どうしようとも思ってない。
だから、それらを片隅に追いやった。

すべての動きを止めたアキラの耳に静かな寝息が聞こえてきた。
…寝たのか?
呆気にとられ、目を瞬かせた後、アキラの体中の力はすべて抜けた。
何を考え、何を思うのか、さっぱり判らない。

アキラはもう一度グンジを見た。
そこにあったグンジの寝顔は、
穏やかで子どものようにあどけないものだった。
それを見ていると、どうでもよくなった。
雁字搦めで身動きが取れないアキラもグンジに真似て、目を瞑る。
そうしているうちに、徐々に暖かさが伝わってきた。
処刑人も温かいんだな。
つまらないことを思う。
そして、与えられる熱に、
人肌はこんなに心地のいいものなのだと、
初めて感じながらアキラも眠りに誘われていった。








またもやこれでお題を消化できているんだろうか…と悩むところです。やってしまっていま、すよね…(涙)
今回甘いですね。自分では少しだけ腑に落ちてないんですが(ヲイヲイ)。が、未知なものを感じると、とてつもない違和感があると思うんですよね…。牡蠣とかにあたって吐くとかそういう感じだと思ってもらえれば(どんなだ…)何か降りてきたら、加筆、修正します。

 

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バンギャ?であったりします。
月と海の四弦さん好きです。
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