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版権二次創作を含んだ非公式ファンブログです。各版権元様とは一切無関係です。コードギアス、咎狗の血、デュラララ!!、その他について書き散らしております。え゙…と思われる方は、×(ぽちっと),←(ぽちっと)でさよならして下さいませ。
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何とな~く少しず~つ進んできました。





-夢見るほどに君を想う-


 ◇ ◇ ◇

少し前、アキラは浅い眠りから引き剥がされるように目覚めた。
何かの夢を見ていた。きっと、いつもの夢だったんだろう。
一欠けらも覚えていない夢…。
だから、さして気に留める事はしなかったが、頭痛が酷い。
ジクジクと時を刻むように苛む痛みに、
起きていても何もしようもないと、身を横たえた。
破壊と修復を繰り返し、それが慢性化してしまった体は、
それに対応できるようになるらしい。
以前なら容易に起き上がることも出来なかったが、
慣れてしまったのか、
目が覚めるとすぐに緩慢ながらも身を起せるようになった。
皮肉。

目が覚めた時、隣に寝ていたはずのグンジの姿はすでになかった。

体内時計はすでに狂ってしまって、今が何時頃であるのか判断できない。
このグンジの部屋ある窓には厚いカーテンがかかっており、
光は遮断され日の光りを感じることが全くないため、
昼なのか夜なのかさえ判らなかった。
処刑人の仕事は昼夜関係ないのだろうし、
グンジの在、不在でも判断することはできない。

とりあえず、部屋に居ないということは、
グンジはトシマのあちこちで、悲鳴と死体を回収しているのだろう。
その現場を一度しか目にしたことはないが、
アキラも一度は追い詰められて殺されかけたのだから、
その様子は容易に想像できた。

しかし、おかしな男だと思う。
凶暴性は経験で判っていたが、あれは何だったのだろうか。
動と静の突然の変化。
グンジの気持ちなど想像もできないが、気になって仕方がない。
突然動かなくなったと思えば、呆然として…、
見間違いだと思うが泣きそうな顔をしてアキラを見た後に、
縋るように抱きしめてきた。
挙句、アキラを抱いたまま眠ってしまったのだ、グンジは。
……。
本当に判らない、理解できない。
……。
思考を止める。
いったい俺は何をしているんだろう。
何を考えているんだろう。
自分を捕らえて監禁している男のことなど
悠長に考えている場合ではないのに…。
人間らしい感情など持ってはない処刑人-グンジのことなど。
おかしな話だ。
アキラ自身もまた、おかしいのかもしれない。
自嘲的な笑いを浮かべる。

時間…。
ふと、ある物の存在を思い出す。
エマに渡された携帯電話に似た通信機。
どこにいっただろうか。
ソファの横を見ると、自分のジーンズを見つけた。
あとは様々な物が同じ場所に積み重なっていて、
そこに何があるのか判別できない。
アキラは少しずつ身を起こして、被っていた毛布を体に巻きつけ、
物の山の近くにゆっくりと移動し、座り込んだ。
グンジの脱ぎ散らかした洋服、といってもグンジが着ている
ピンクのパーカーの全く同じ物が何枚かと、
ジーンズ、これもまた同じような色の物ばかりが何本かと、
自分の着ていた洋服を分けてソファの上に乗せた。
ついでにゴミも一箇所に纏める。
何もなくなったそこには、アキラの持っていたバッグはなかった。
周りも見まわすが、どこにも見当たらない。
通信機はあのバッグの中に入れていたはずだった。
グンジがご丁寧にバッグも一緒に持ち帰るはずもなく、
きっとあの追い詰められた場所に落ちたままか、
もうすでに誰かに拾われた後だろう。
……。
自分の冤罪をはらすためにやってきたトシマで、
俺は本当に何をやっているんだろうか。
イグラに勝利しタグを集め、イル・レを倒してここから出る、
そうする、そうしていたはずだったのに。
……。
逃げればいい。今、すぐに。
けれど、動かない自分がいた。
アキラ自身、自分がどうして逃げないのか不思議だった。
絶好の機会を自ら逃している。ありえないことだ。
アキラは、あの時のグンジの様子、表情を見てしまったことで、
何かに囚われてしまったのだ。
その『何か』が判らないうちは、ここから動けなかった。
判ったとしてもそれでどうする?
そう思っていても、何故かそれを知りたいと強く思った。


 ◆ ◆ ◆

ぶらりとトシマを歩いていると、
瓦礫の山の中にぽつんと木が立っている場所を見つけた。
長くトシマにいるけれど、目にしたことのない初めて見る場所。
崩れ落ちそうな建物が密集している所と違い、
綺麗、そう言ってもいいほど、その木を中心に数メートル、
開いた地が広がっていた。
荒廃した土地の独特の静けさとは違う静かな雰囲気がそこにはあった。
何となく近づいていくと、木は枯れてはいるが、
未だ生きようとする生命力があるように思えた。
珍しさに足を止め、その場にしゃがみこむ。
……。
ダルイ。
思いつきのまま、木の根に持たれて寝転んだ。


グンジと穏やかなとき、それは無縁のもの。
周りはいつも殺伐としていて、常に生と死の隣り合わせだった。
居る場所が収容所や戦場、刑務所であるからそれは当たり前で、
凶暴な強さを持っていたグンジが
死ぬような目に合った事は少なかったが。
それにその混沌とした状況を何とも思わないどころか、
むしろ悦んで自ら出向いていこうとする。
グンジはそれが好きで、気に入っている。
退屈は嫌いだ。
キリヲと出会い、アルビトロに拾われ、ヴィスキオの一員となった。
給料は出ないが、3食昼寝付、そして、
ルールさえ守れば、いくらでも人を殺してもいいと言われたから。
金なんてどうでもよかった。
働いて稼ぐなど考えたことは一度もない。必要であれば奪えばいい。
食べることにも興味がなかった。ソリド三昧よりマシだと思っただけ。
(アルビトロの作らせる食事はやたら美味くて気に入っているけれど)
重要なのは、愉しいのかそうじゃないのか。
自分から出向かなくとも餌がそこら辺に転がっている
狩場が用意されている、頷いたのはそこだった。
退屈は嫌いだ。


……。
眠い。
寝る。
目を瞑って暫くすると、グンジの腕に暖かい物が触れた。
何だ、と思って目をやると、ふわふわした毛のついた丸いものが
グンジの腕に顔を摺り寄せていた。
白い猫だ。
ぱっと花が咲いたような処刑人らしからぬ笑顔で猫に話しかけた。

「オマエ、どっからきたの~・・・?」

ニャーと鳴き声が聞こえた。返事をしたようだった。
勿論理解はできないが、気をよくしたグンジは
猫を潰さないように手にかかえ、自分の顔に近づけた。
嫌ではないのだろう、もう一度鳴いた猫は愛らしい顔で
真っ直ぐにグンジを見つめる。
猫の瞳は青色だった。
空の青ではない。海、否、
人の手で汚されていない自然の、透明度を誇る湖の青。
泳げそうだなぁ。
気持ちイイかもなぁ。
人とはやや違った思いをグンジは並べていく。
そうして瞳を覗き込んでいると、猫は一度目を閉じ、また開いた。
この猫の目と同じ青い目を見たような気がした。
んあ~?ど~っこだったっけなぁ。
……。
わかんねぇ、つかめんどくせぇ~。
5秒ほどで記憶の散策を終え、グンジはもう一度猫を見た。

「猫、ネコ、ねこ~~・・・」

これ欲しい。
持って帰ろう。
そう完結させた所で、猫の顔に『猫』の顔が重なった。
……。
グンジの部屋にいるあの猫の目は、目の前の猫と同じ色をしていた。
そうか。
グンジの笑みが消えた。
猫を見ているのか『猫』を見ているのかわからなくなっていた所に---


突然、瞼の裏に火花が散った。

「・・・・ッッ!~~~ァァッッ」

目を開けるとキリヲが鉄パイプを持ち直すのが見えた。

「なァ~に昼間っから、イー夢見てんだァア?」

語尾の最後と同じタイミングでもう一度鉄パイプが振り下ろされる。

「~~~ァァッッッ・・・!!!ッのヤローッ!」

さっと身を起こしたグンジはキリヲに向けて鉤爪を振るった。
金属音が響く。
グンジの鉤爪をキリヲの鉄パイプが受け止めていた。
キリヲは握っていた鉄パイプにもう片方の手を添えて鉤爪を薙ぎ払う。
通常ならその力の重さに体を持っていかれているだろうが、
グンジは一瞬のうちに態勢を立て直し、
もう片方の鉤爪をキリヲに向けて繰り出す。
大きな体が俊敏な動作でそれをかわした。

「・・・チッ、・・・・・絶対いつか殺してやる」
「バァカ・・、糞ヒヨに俺が殺せるのかよォ」
「・・るせーよ・・・このモウロクジジィ」

凄まじい殺気に溢れていた空気に似つかわない緩い声が舞う。
瞳の奥の光は互いを殺しあうようなものだったが。
……。
ジジィあんま見てるとヨボヨボになっちまう。
目を逸らしたグンジは、手の中にあるはずの温もりを探した。
……。
瞬間、グンジの叫び声が広がる。
キリヲはつまらなさそうにグンジを見た。

「どこだ?猫?ネコ~?」

グンジは首を傾げながら、自分の前後左右を繰り返し確認している。
な~にやってんだ~?
相手にするのも面倒だったが、
あまりにうろたえて同じ動作を繰り返すグンジを
見ている事の方が面倒になり、キリヲは仕方なく声をかけた。

「・・ナァニやってんだァア?・・ヒヨ」
「・・・ッまさかジジィ、食ったんじゃねぇだろうな・・」
「・・アァ?何言ってんだァ、オマエ・・・」

グンジの周りに殺気が戻ってきた。
意味のわからない事をする。
意味のわからない言い掛かりをつける。
つくづく面倒なグンジにキリヲは
「仕事しろ」と言い放ち、踵を返して歩き始めた。
後ろではグンジが喚いていたが、キリヲは気にせずに歩いていった。

糞ジジィ・・覚えてやがれ。
キリヲの背中に呪い言葉を放った。
それでも納まらないのか、グンジはもう一度叫びながら仰向けに倒れた。
???
ダイレクトに伝わってくるはずのコンクリートの硬さがない。
心地はよくないが、何かの塊が頭の下にある。
確認するためにグンジが後ろを見ると、
それは誰がいつ捨てたのかわからないゴミ袋の塊だった。
こんなのあったっけか?
そして、周りを見るとグンジのいる場所はどこかの路地で、
少し前にグンジの見た空き地も枯れ木も、どこにもなかった。
……。
れれ?夢?

それを理解したグンジはその現実にがっくりと肩を落とし、
もう一度その場に横になる。
せっかく連れて帰ってやろうと思ったのに…。
つーか、俺いつ寝たっけ?
……。
すぐに考えることを放棄し、目を閉じた。
……。
急にグンジの半端に開いた口が上に弧をえがき、
次の瞬間には笑い声があがり、グンジは起き上がった。
俺って天才かも。
心の中で呟いた後、思い切り伸びをして立ち上がる。
そうして、路地を出た所に転がっていた生ゴミに鉤爪を引っ掛け、
それを引き摺りながらでたらめな唄を歌いながら歩いた。
至極楽しそうに、地面に黒い染みを作りながら。
それを目の当たりした周囲に恐怖をばら撒きながら。







今回はストレートにいってみました。あまりのまんまにいいのか?!と少し思っていましたが、スバラシイきっかけを与えてくれたのでいいのです。確かに、グンジ(うちのグンジ)は天才だと思います、アキラに関してだけ(しかも本能?天然?で)。しばらくはこのままいくと思いますが、あぁ、最後とかどうなっていくんだろう…。誰か教えてっ!(オマエだ)

 

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自己紹介:
女子です。腐女子です。
基本、ユルいです。

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女子相手でも右です。
言ってしまえば、総受です。
スザルル・シュナロイを取扱中です。

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シキアキ&グンアキ愛
グンジが可愛くてしょうがありません。
グンアキを取扱中です。

drrr!!(現在アニメのみ)好きww
シズちゃんがすごくすごく好きです。
けれどdrrr!!はみんな好きだ!
静臨を取り扱い中です。

バンギャ?であったりします。
月と海の四弦さん好きです。
虹の歌うたい(ちっちゃいおっさん)が
世の中で一番好みです。

づか好き芝居好きです。
づかはどの組の大劇にも1回は出没します。
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