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版権二次創作を含んだ非公式ファンブログです。各版権元様とは一切無関係です。コードギアス、咎狗の血、デュラララ!!、その他について書き散らしております。え゙…と思われる方は、×(ぽちっと),←(ぽちっと)でさよならして下さいませ。
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時間軸戻ります。
夢見る~の次がこれになります。
つまり、4→6→5です。





-いつまで囚われたままなのか-


 ◇ ◇ ◇

ベッドに凭れて膝を立て、アキラは毎日のように考えていた。
自分が何故ここにいるのか、何故こうしているのか。
捕獲され監禁されているから-、
そんな当たり前の事ではなく、別な何かを。

監禁。
その言葉は似合わないような気がした。
元々グンジは部屋の鍵をかけてはいなかった。
鍵をかけていようがいまいが、
以前のアキラの体は自由に動かなかったから意味を成さなかったし、
グンジにしてみればアキラが逃げ出したとしても、
追いかけてまた捕まえればいいと単純に思っていたのだろう。
おまけに確認してみると、グンジがよく壊すこの部屋の扉には
最初から鍵穴など存在しなかった。
そして、まだ無茶はできないが体を動かせるようになったアキラは
いつでもこの部屋から表へ出られる。
閉じ込められているわけではなかった。
アキラは自由だった。
ただ…、自分の意思でここにいる。

監禁、その意が、
-捕らわれ、囚われている-
そうならば、その通りかもしれない。

あの日、あの様子がおかしかった日から、
グンジはますますアキラを困惑させていた---。


 ◇ ◆ ◇

「ね~こォ?たっだ~いま~」

満面の笑み-目元は見えないが大きな口の端が上がっている顔-で
ベッドの上のアキラを見ると、グンジは唐突に何かを投げてよこした。
シーツの上に転がったそれは、ペットボトルに入った水。
突然のことに驚きながらも投げられた水を見た。
ごくりと唾を飲み込む。
思えば自分自身の手で水分を取るなど、久しくしていない。
渇きが急激にアキラを襲った。
……。

「ッんだ~?いらねぇの~?
 ・・・・そっかァ・・、猫ならミルクの方がいいのか?」

ペットボトルを手にとらないアキラに
いつの間にか近くに来ていたグンジは理解できない言葉を発した。
真面目に考えている、悩んでいる様子のグンジに
アキラも真面目にグンジの言葉の意味を解釈しようとしたが、
それができるはずはなく、喉の渇きがまた戻ってきた。
……。
グンジと水を交互に見て、アキラは小さな声で聞いた。

「・・・、何も・・入ってないんだろうな・・?」
「あぁ?・・・、猫ちゃんダイジョーブぅ?
 水入ってんじゃん・・・見えね~の?」

グンジは鉤爪をアキラの目の前で振りながらそう言った。
どうやらアキラの目が見えているのかいないのかを確認しているようだ。
そういうことじゃない。
言っても無駄だと判断したアキラは言葉を飲み込み、
もう一度グンジと水を見る。
グンジの様子を見る限り、薬や毒などが入っているとは思えなかった。
それにグンジは薬や毒を使うようには見えない。
ラインも嫌っているような事を言っていた気がする。
ならば…とペットボトルを手にとり、口元へ運んだ。

冷えた水がするするとアキラの中へ流れ込んでくる。
美味いと味わうよりも、気持ちがよかった。
食道から胃から、水が流れた箇所から
体全身に染み入るような感覚がとても心地がいい。
久しぶりに口にする水分は、餓えたアキラをもっと餓えさせ、
あっという間にペットボトルの中身は三分の一ほどになった。
漸く治まった渇きにほっと人心地がつく。
グンジはアキラのその表情に満足するように見ていた。
顔を上げた先に見止めたグンジの表情に、アキラは思う。
普通に笑うこともあるんだな。
アキラが見る二つ目の
人という範疇を超えた処刑人-グンジの人間らしい表情だった。
しばらく見ていると、グンジの口角がさらに上がった。
アキラが身構える間もなく、グンジは不思議な言葉を喋り始めた。

「・・・やっぱ、猫飼う、・・・・だな。
 オマエ今からタマだから」
「・・・?」
「そうだよ、タマにすりゃーよかったんだよな~。
 したらビトロに文句言われなくても済むし。
 アイツ、イチイチうるせぇんだよ、・・・ったく。
 ・・けど、言うこと聞かなきゃメシ抜きっつーしよぉ・・・
 ビトロのメシうめぇからな~・・・・、あ~腹減ったぁ・・・」

アキラを無視して一人で喋るグンジに取り残される。
目の前の男が言った言葉を理解するのにアキラは精一杯だ。
……。
やはり判らない。
何なんだ。
憤るどころか、もう呆れるしかなかった。
考えるのさえ馬鹿馬鹿しくなる。
グンジを見つめて溜息を吐いた。
それが合図だったかのようにグンジの独り言は止まり、
今度はアキラへ話しかけた。

「タァマ~、メシ、食うか~?」
「・・何?」
「だから、メシ食うかってきーてやってんのぉ・・・」
「・・・」
「何?・・・いらねぇの~?まぁタマがいらねぇってんなら
 俺がその分食うけどぉ・・・腹減ってね~の~・・?」
「・・、・・・ラだ」
「あー?何?」
「・・ァ・キラだ・・・・」
「・・・だからもうちょっとデケー声で喋んねェと聞こえね~だろォ」
「・・・、だから・・・・アキラだ」
「・・・・?」
「・・・、俺の名前はアキラだ。タマなんかじゃない」

アキラは言ってしまってから、後悔と羞恥でグンジから目を逸らした。
何故名前など教えてしまったのか。
他人にどう呼ばれようが気にしたことはなかったが、
動物のような呼ばれ方には抵抗があったし、
何かが違っているような気がして突いて出てしまった。
コイツといると調子がくるう。
自分の知らない自分が出てくる。
苛立ちと感じたことのない焦りのような感情が渦巻く。
アキラは黙りこみ、そのまま動けなかった。


 ◇ ◇ ◇

それからというもの、
グンジはアキラのことを名前-アキラ-で呼ぶことはなかったが、
暴力を振るったり蔑み言葉を投げ掛けることはなくなった。
グンジの2度目の急激な変化にアキラの疑問は減るどころか、
逆にまた増えてしまった。
当のグンジはそれに対して何か説明することもなく、
毎日アキラに食事を与え、
自分が眠るときにアキラを抱いて眠った。
抱き枕のようにされることが屈辱的で、
力の差が歴然としていることは疾うの昔に知らしめれていたが、
それでもアキラは毎回抵抗した。足掻きであっても止められなかった。
グンジは判っているのかいないのか、
アキラがそうすることを楽しんでいるように笑っていて、
それがまたアキラの癪にさわる。

日常化していくグンジとの生活。
痛みと恐怖を与えられて頃の方が
よっぽどマシだったんじゃないだろうか…。
血の日々になど戻りたくもないが、ふと思う。
あのまま続けられていれば、
慢性化したそれはアキラを壊したかもしれない。
自分を失くしてしまうなど考えるだけで耐えられないが、
今のようなしっかりと意識を持っているのにかかわらず、
自分の気持ちが判らないような状況よりも、
それはよかった、楽だったのかもしれない。
……。
ゾッとする。
馬鹿げた事を。自分が自分でなくなるなど冗談じゃない。
それを許すなどあってはならない。
自分を奮い立たせるように、拳をぐっと握った。
俺は俺の足で、
俺自身が決めた時に、俺の意思でここから出て行く。


ベッドから下り、窓の側に立つ。
アキラはかけられているカーテンを一気に引っ張った。

「ッ・・・」

あまりの眩しさに目を瞑った。痛いくらいの光。
晴れる日などそうないのに、珍しいな。
ゆっくり目を瞬かせながら開けると、
広がっていたのは薄い雲のかかった空だった。
……。
長い間、明かりといえば部屋の照明だけで、
日の光を浴びていなかったせいかもしれない。
いったいどのくらいの時間が流れたのか。

ふと眼下の庭に置かれている悪趣味な少年像が目に入る。
ここに来たのは…、3回目、か。
そういえば…。
心配、されているんだろうか。
リンについては何とも言えないが、
もう一人の人物は、情けない顔をしながらも、
イグラに参加してしまった後で、帰ることもできず、
それでも決心固く、自分を探し続けているのかもしれない。
ケイスケ…、生きているだろうか。
勝手について来たとはいえ、巻き込んでしまったのは自分だ。
……。
今の自分に何ができる?
アキラはこうしてイグラの監視者である処刑人に捕まっているのだ。
そして、自身の意思でここに留まっている。
……。
アキラのしてやれることは、何もない。
もし、今度ケイスケを目にする時があったなら、
屍でないようにと思うのみだった。

そうしていると、庭からこちらに歩いてくるピンク色が見えた。
帰ってきたのか…。
アキラはやんわりとした感情を感じる。
何だろう。
けれど、その感情の名前をアキラは確認することなく、
自分に浮かべている表情にも気がつくことなく、
部屋の主をじっと見ていた。


 ◆ ◆ ◆

固まったままの猫をそのままにして、
グンジは骨まで砕きそうな勢いでチキンに齧り付いている。
むしゃむしゃとあっという間に咀嚼して次に手をつける。
大きな口を開けて、今度は骨ごと丸呑みしてしまいそうだ。
その2つ隣には当然の如く、セロリを齧っているキリヲがいた。
ヴィスキオの『城』の食堂の長い机の上には、
このトシマで唯一、一人しかいないであろうコックが作った
豪勢な食事が並んでいる。
トシマで入手できる食べ物などソリドくらいで、
普通の食べ物を口にすることは勿論、目にすることすらない。
トシマに君臨する犯罪組織-ヴィスキオであるから
用意することができる食事。
それら、並べられた食器の上の物を綺麗、
食い荒らすように二人は攫っていく。

「・・オイ、ヒヨ・・・、野菜も食え」
「・・・あー」

生返事し、グンジが目の前のチキンに掴もうとすると、
いつもの小気味よい音が聞こえた。
鉄パイプ-ミツコさんがグンジの頭にヒットする。
けれど、聞こえてくるはずのいつもの叫び声はなくグンジは黙ったままだ。
何を考えているのかわからない無表情のまま、
グンジはチキンの隣、皿に乗っている人参を掴んだ。
先程の勢いはないが、それでも細く切られた人参を半分ほど齧り
「あんま美味くねェ」とこぼしながら食べる。
5本の人参を飲み込んだ後、またグンジの手はチキンに伸び、
やっぱうめぇ、と、平らげていく。
食堂でのいつもの光景。
あ、とグンジが何かに気が付いたように骨をしゃぶり咥えたまま喋る。

「ジジ、俺、タマ飼うことにした~」
「・・・ァア?・・全身に毛ェついたゴミ持って帰ってきたりしたら
 またビト子にメシ抜きにされっぞォ・・・」
「ちげーよっ・・タマは毛ェついてっけど・・・、
 ん?・・・全身にか?・・あれ?
 ・・・つか、ビトロもニヤニヤしてたし、いいんじゃね~の?」

そういって咥えていた骨を投げたグンジを、
キリヲは口の端を片方だけ上げ、面白そうに眺めた。







書いた順番も4→6→5だったりします。途中まで書いて、あれ?これって次なんじゃ…と思い、これまた変更しました(笑)若干、アキラ?か?と思って悩んだんですが、結局あたしが書いてるんだから、捏造だった!と気付き、いいや~と思っています(…スミマセン)アキラは鈍ちんなので、グンジの中で猫(野良猫)からタマ(家猫)に昇格したことも、飼われてるなんてこれっぽちも思っていないです。

 

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自己紹介:
女子です。腐女子です。
基本、ユルいです。

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女子相手でも右です。
言ってしまえば、総受です。
スザルル・シュナロイを取扱中です。

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シキアキ&グンアキ愛
グンジが可愛くてしょうがありません。
グンアキを取扱中です。

drrr!!(現在アニメのみ)好きww
シズちゃんがすごくすごく好きです。
けれどdrrr!!はみんな好きだ!
静臨を取り扱い中です。

バンギャ?であったりします。
月と海の四弦さん好きです。
虹の歌うたい(ちっちゃいおっさん)が
世の中で一番好みです。

づか好き芝居好きです。
づかはどの組の大劇にも1回は出没します。
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