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版権二次創作を含んだ非公式ファンブログです。各版権元様とは一切無関係です。コードギアス、咎狗の血、デュラララ!!、その他について書き散らしております。え゙…と思われる方は、×(ぽちっと),←(ぽちっと)でさよならして下さいませ。
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先に、すみませんでした(土下座)





-何も隠さず全てを見せて-


 ◇ ■ ◇

ケイスケのナイフが一気にアキラを求めて襲い掛かる。
その速さと足場の悪さに、受け止めきれないと判断し、
アキラは転がるようにそれを避けた。
ケイスケの振るうナイフは避けたアキラに執拗に迫る。
雨に打たれ、落ちた地面の水さえも含んだ服の重みと、
顔に跳ねる水滴、そしてケイスケの能力と速さ。
避けるのがやっとのアキラだったが、
荒い息を吐きながら体勢を立て直す機会を窺う。

俺はケイスケと話をしようと会いにきたのであって、
こんな風に戦うためにきたのではない。
戦う…。
何故ケイスケと戦わなければならないのか。
ただ、話をしたい、話を聞かせて欲しい。
誤解されているなら、それを解きたい。
そう思うだけで。

振り切られる刃に斬られた雨が頬にかかる。
瞬間、ケイスケの一撃を渾身の力で弾いた。

「俺はこんなこと望んでないッ!!」

叫ぶとケイスケの動きが止まった。
アキラは即座に立ち上がり、ケイスケを見る。
ケイスケは、笑っているようだった。
低く喉で笑い、アキラを見つめる。

「アキラの望みって何だよ・・・。
 アキラって身勝手だよなぁ・・・ホント」

ケイスケは両手を大袈裟に広げて、くっと歪んだ笑いを見せた。

「俺の気持ちなんてこれっぽちも聞こうとしないで、
 そのくせ自分の願いは聞けって言うのか?
 我儘ばっかりのアキラ様。
 今日ぐらい俺の望みをきいてくれてもいいんじゃないの?」

笑顔を仕舞い込み、アキラをほんの一瞬見つめたケイスケが
こちらに突っ込んできた。
先程のものより比較にならないくらい
段違いの勢いと速さに一瞬遅れを取り、
咄嗟に身を引いて受け止める。
交わる刃に高い金属音が響き、木霊する。
離れると体に電流が走るかのような痺れが伝わってきた。

「アキラァァァァ!!!」

咆哮とともにアキラにナイフを振り上げる。
重い刃をわざと振り抜き、
ケイスケは受身の態勢でがら空きのアキラの腹を蹴り飛ばした。

「ッッ!!」

アキラは背中から地面へと倒れこんだ。
腹と背中、両方の痛みが流れ込む。
アキラの上に黒い影が覆いかぶさった。
ケイスケを睨むと、アキラの目に火花が散る。
馬乗りになったケイスケがアキラの顔を殴りつけた。
一度、二度、三度…、繰り返されるケイスケの拳にアキラの瞼が切れる。
流れ落ちる血に満足したように、
流れる血と同じ色をした赤黒い光がケイスケの瞳に宿った。

「・・・俺のお願いきいてくれるよな・・・・アキラァ」

ケイスケが横に置いてあったナイフを取る音が聞こえたその時だった。

「アキラッ!」

声が響き、倒れているアキラの頭上に何かが降りてきた。
仰向けに倒れているアキラには、はっきりと見えた。
バサバサに痛んだ金色の髪、
ピンクのパーカー、その体に刻まれているトライバルタトゥ。

「・・・グン・・ジ・・」

突然降ってきた処刑人に、
呆気に取られたのかケイスケの体からほんの少しの間、力が抜けた。
アキラも呆然としていたがすぐに我に返り、
気が逸れているうちにと、ケイスケの体を両手両足で突き飛ばした。

「・・・ッ!」

ケイスケの体が後ろに飛ぶ。
その隙にアキラは身を起こし、グンジに近づいていった。


 ◇ ◆ ■ ◇

ずぶ濡れのグンジ。少し息を切らしているような気がする。
どうして自分はこんな気持ちになるんだろうか。
来てくれてよかった、嬉しかったと。
皆から恐れられている処刑人だというのに。
自分を助けにきたわけではなく、
ただ、暇潰しの猫が逃げ出したから連れ戻しにきた、
それだけのはずなのに。
……。
同じなのか?
ケイスケの言っていた『物』と同じなのだろうか。
アキラの歩みが止まる。
痛い。
体の傷じゃなく、体の中の何かが痛い。
どうしてだろう。


アキラを見ると、酷く殴られたようで瞼が切れたのか血を流していた。
流れ落ちる血で前が見難そうだか、こちらに歩み寄ってくる。
雨の雫とともに流れる血。
アキラの血。
……。
誰がそうした。
何がそうした。
誰がそうしていいと言った。
どうして赦した。
その体は俺のだろう。
勝手なことをするな。
切り刻むのは俺だろう?
体中の血液が沸騰した。
アキラに向けて鉤爪を振るおうとした。
その時、また声が響いてきた。
けれど今度は、ゆっくりと語りかけるように。

違うだろう?オマエはその猫を殺したいのか?
今まで殺さずに側に置いていたのに。
最初に捨てておけばよかったのに。
何故そうしなかった?
-声と目と血が気に入った。
それだけか?
-他の猫とは違った。
何故?
-真っ直ぐ目を逸らさずにこっちを見た。
その目はどうだった?
-濁りがない、誰も触れたことがない湖みたいだった。
それをどう思った。
-怖い。
何故?
-俺の中に入ってこようとした。
どうしてだと思う?
-判らない。
では、その目を持った猫をどう思った?
-本物の猫。誰にも負けない気高さで自分の足で立ってる。
それをどう思った?
-面白い。弱いくせに、強くて、綺麗だと思った。
その猫に代わる猫がいると思うか?
-判らない。けど、いない気がする。
ではその猫はオマエにとって特別なんだろう。
代わりがない特別なら、オマエはそれを守るべきではないのか?
側にずっと留めておきたいから声を聞いたんだろう?

今まで耳に届いていなかった雨の音が聞こえてきた。
……。
特別?
この猫…アキラが。
アキラを凝視していると、グンジの目の端に何かが映る。
青いツナギの男が、ナイフを掲げてこちらに来ていた。


目の前のグンジの動きがスローモーションのように見えた。

「・・・ッぐ・・・」

動けなかったアキラの体は、
次の瞬間、グンジに腕を引っ張られ、投げ飛ばされていた。
何が起こったのか判らず、痛みに目を細めながらも前を見ると、
対峙しているケイスケとグンジの姿が見えた。
目を凝らすとグンジのパーカーの袖が少し破れている。
いや、切られていた。
雨と風を切る音が聞こえたような気がする。その時のものだろうか。

ケイスケは相変わらず笑っていた。
一方のグンジは、自分のパーカーの破れた箇所を無表情で見ている。

「・・・んなの、面白くも何ともねぇ!!!」

叫び声とケイスケの体が壁に撃ちつけられたのは同時だった。
グンジの早い動きにアキラの目はついていけなかったが、
足を元へと在るべき形に戻す瞬間と遠くへ飛んだナイフは見えた。
グンジに蹴り飛ばされたケイスケは呻き声を上げて倒れた。
そのケイスケの側に立ち、グンジは前髪を掴んで上を向かせる。
ケイスケは苦しそうにしながらも、必死に抵抗しようと腕を振るが、
グンジの足がケイスケの胸を押さえつけたため、またくぐもった声をあげた。
鉤爪が横に引かれる。


「オマエ、なんでついてくるんだよ」
「・・・アキラの側にいたいから」


鮮血がまるで噴水の水のように飛ぶ。
流れ出した赤い液は、血だまりを作っては雨に溶けていく。
青いツナギの周りの血も同様に。
見開かれたアキラの瞳に映ったのは、
身動きしない塊になったケイスケだった。

口を開けた首と瞑らない瞳に雨が流れ込んでいる。
死はもっと美しかったはずなのに、
前にいるケイスケは酷く辛そうで、苦しそうだった。
処理を施される前の死体。
死ぬとはこういうことなんだろうか。
呼吸を止め、心臓の動きが止まり、脳が活動を止める。
それだけのこと…ではなかった。
自分の思いを、言葉を伝えられないまま、
ケイスケの思いを、言葉を聞けぬまま逝ってしまった。
最期まで傷つけたまま。


 ◇ ◆ ◇

呆然として座っているアキラの前を遮る足が見え、
見上げるとグンジが立っていた。
全身に返り血を浴び、そこにいた。
雨に濡れた前髪のせいで、隠されている瞳が見えて表情がよくわかる。
酷い顔だ。

「・・・!」

急にアキラのぼんやりとしていた思考が動き始めた。
グンジは腕を切られていたはずだ。
大丈夫なのか。
目をやると、パーカーの生地が破れただけのようで、
グンジは傷一つ負っていなかった。
よかった。
……。
アキラは自分の気持ちに混乱する。
自分の目の前で何もしてやれずに
死んでいったケイスケがいるというのに、
何故よかったなどと言えるのか。
相手はケイスケを殺した張本人であるのに。
アキラを切り刻んで恥辱を与え、閉じ込めた相手-グンジなのに。

アキラは堪らず、そこから駆け出した。


 ◇ □ ◇

点と線が繋がり、絡まる糸はすべて解けていった。

どうしてそう思うのかまでは判らない。
けれど…、
自分はグンジのことが大事だ思い、
自分はグンジの側にいたいと思ってそれを望んでいるのだと。
たとえケイスケを殺しても、
自分のことを弄んで、ただの暇潰しの物と思われているとしても。

混乱し困惑したが、驚きはなかった。
自分の行動を振り返れば、至極納得のいく答えだった。
逃げれないではなく逃げない自分、
グンジの事を知っていく度に嬉しいと思う自分、
グンジに名前を呼ばれて嬉しかった自分、
グンジが帰ってくることが嬉しかった自分、
グンジに縋りつきたいと思い、グンジの腕の中で安心した自分。
どれを取ったとしても、それは解決する。

こんなに簡単なことを、どうして今まで判らなかったのか。
認めたくなかったからなのか、それとも。

アキラは立ち止まり、壁に凭れた。
情けないような、靄が晴れて嬉しいような、
気持ちが混ざり合い少し笑った。
けれど、その笑みはケイスケの事を思い出し、すぐに消えていった。

ふと視界の端に何かが見えた。
気配は全くなかった筈なのに…、驚きと後悔。
すぐに動けるような体勢を取り、見ると男が立っていた。
髪は金に近い色、肌は病的に白く、薄い青色の目をした男。
纏う色が薄くて、生気が感じられず気味が悪い。
けれど、無防備でアキラが少し突き飛ばせば
倒れてしまいそうな男に、僅かに警戒心が薄れる。
雨で濡れそぼった姿のせいで、そうしてしまうのかもしれない。
男がアキラの方へと腕を伸ばしてくる。
咄嗟にそれを避けると、硝子玉のような瞳がアキラを真っ直ぐ見た。

「・・・気付いているか。
 自分が、何色に染まろうとしているかを」

穏やかでありながらも、冷たく突き放されているような、
無機質な声が聞こえた。
その声はアキラの中に自然に、強制的に、流れ込む。
言葉の意味が判らずに訝る様子をアキラが見せると、
男は一つ瞬きをして、もう一度アキラに手を伸ばしてきた。
頬に触れた手の感触は陶器のように冷たく滑らかで、アキラは息を詰めた。
薄い青色に捕らえられ、アキラは身動きすることができなかったが、
男の手が離れて、唐突に不思議な感覚から解放される。
気付いたときには、男は背中を向けて去っていく所だった。

男の姿が見えなくなるまで、アキラはじっと背中を見つめていた。

なんだったのだろうか。
そう思っていると、水が撥ねる音が聞こえ、
振り向くと歩いてくるグンジの姿が見えた。

アキラは戸惑う。
自分の気持ちが判った今、グンジにどうやって接すればいいのだろうか。
誰かを大事と思うことなどなかった。
今まで経験したことのないことで、何も参考にするものがない。
そしてグンジはケイスケを殺した。
……。
酷いとは思いながらもアキラの中では、
ケイスケが死んでしまったことより、
グンジがケイスケを殺してしまったことより、
そうなったのが、死なずに生きているのがグンジであり、
それを嬉しいと思っていることの方が
アキラの中を大きく占めていた。

自分を最低だと思いながら、
アキラは少しずつ大きくなるグンジの姿を見ていた。

 ◆ ◆ ◆

猫を斬って裂いてやるつもりだったのに、声が邪魔した。
あの青いツナギの男がアキラに斬りかかろうとして、アキラを庇った。
切られたパーカー。
冗談じゃない。俺が何でこんなヤツに。
いつもなら愉しむ所だったのにそれを忘れて、頚動脈を一気に裂いた。
アキラの側に寄っていくと、こっちを見てから切られた袖に視線を移した。
無事でよかったなんて思いが浮かんで、
黙っていると、突然走り去ってアキラは消えた。
意味がわからない。
自分も、アキラも。
どうしてこう振り回されなければならないのか。

少しの間立ち尽くしていたが、結局、グンジはアキラを探しに来た。

どうしてアキラが絡むと、俺は俺でなくなるのか。
特別、だからか。
特別ってどういうモノだ。
『守る』と声は言っていた。
なんでだ?
特別、スペシャルだから余計に殺める瞬間は
それ相応に高揚するだろうから、それを愉しみにするのが本当だろう?
……。
考えすぎて、頭痛のような痛みがグンジを襲った。

アキラを見ると、瞼から流れていた血も僅かな量になっていた。
血に惹かれたのか、アキラに惹かれたのか、
グンジはその傷口を舐めた後、
そこに唇を押し当てて、暫くの間、動かなかった。


雨はまだ止みそうになかった。






ごごごご、ごめんなさい(涙目)ごめんね、ケイスケ。そしてファンの方…スミマセン。。。うちの子たちはアホ(若干語弊アリ)なので、何かがないと駄目なんです…とか言い訳してみたり…。
nはいるのかいらないのか。登場させたかったんです、はい。どうにもならないけれど。。。…瞼は完璧にあたしの趣味です、はい(爆)

 

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女性
自己紹介:
女子です。腐女子です。
基本、ユルいです。

ギ/アス猛烈愛
ルルは右属性です。
女子相手でも右です。
言ってしまえば、総受です。
スザルル・シュナロイを取扱中です。

BLゲーム 咎狗の血
シキアキ&グンアキ愛
グンジが可愛くてしょうがありません。
グンアキを取扱中です。

drrr!!(現在アニメのみ)好きww
シズちゃんがすごくすごく好きです。
けれどdrrr!!はみんな好きだ!
静臨を取り扱い中です。

バンギャ?であったりします。
月と海の四弦さん好きです。
虹の歌うたい(ちっちゃいおっさん)が
世の中で一番好みです。

づか好き芝居好きです。
づかはどの組の大劇にも1回は出没します。
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