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版権二次創作を含んだ非公式ファンブログです。各版権元様とは一切無関係です。コードギアス、咎狗の血、デュラララ!!、その他について書き散らしております。え゙…と思われる方は、×(ぽちっと),←(ぽちっと)でさよならして下さいませ。
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最後です。完結です。





-最後の時まで愛してあげる-


 ◇ ◇ ◇

あれから、グンジは異様に大人しかった。
瞼から漸く唇から離す、離れると
それからお互いに無言で『城』に戻ってから、
アキラを無視する、それは言いすぎだが、
グンジはアキラに余所余所しくなった。
散歩だと無理矢理アキラを部屋から担ぎ出していたグンジが、
『城』に戻っている間は何か用事がなければ
アキラから離れようとしなかったグンジが、
まったくそれをしようとしなくなった。
アキラとグンジとの接触は、食事を運んでくる時くらいになっていた。

外に連れ出されることもない、食事のために食堂へ行くこともない。
あの雨の日からアキラはグンジの部屋から一歩も出ることがなくなった。

グンジはいつもいつも、突然だ。

戸惑いを感じたが、アキラはそれを咎めたりは勿論、
グンジにどうしてなのかと理由を聞こうとはしなかった。
きっとグンジは自分に飽きたのだろう。
そして、ここまでずっと一緒にいたことで、
飽きたとしても自分を殺さないのだろう。
つまり、見放されたのだと、アキラは思った。

人を必要とする、人に必要とされる。
そんなこと考えたこともなかった。
自分は自分、他人は他人。
そこには、はっきりとした線が引かれていて、
それを踏み越えようとしてくる他人を
けっして受け入れようとはしてこなかったし、
そう思っている空気を、冷めた態度を周りに振りまいてきたので、
誰も執拗に近づいてこようとはしなかった。
制度での偽りの家族。
優しくされたが、アキラは結局受け入れることができなかった。
戦争が終わってからの無理矢理に押し付けられるもの、
思想も制度も、すべてが違うと感じた。
それが、それ以前よりもアキラを余計に意固地にしたのかもしれない。
線引きをしてもなお、側に寄ってくるケイスケだけは例外だった。
そうした時は何となくでしかなかったが、
自分がケイスケを遠ざけようとしなかったのはどうしてなのか、
今なら判る気がする。
『アキラの側にいたいから』とそう言った
ケイスケの言葉に呆れはしたが嬉しかったのだろうし、
それは嘘=作られた物ではなく本物だとそう思ったから。
結局、何もしてやれず、何も返してやれなかったけれど。
他人を拒否し、排除してきた。
人の思い、そして自分の思いでさえあまり顧みてこなかった。
アキラがそうするようになったのは、
このトシマに入り、グンジに『城』に連れてこられた時からだ。
後悔はしなかったが、馬鹿だったと思った。
--人は経験したことでしか本当の意味で理解することはできない--
本当だと思う。
自分は何も判っていなかった。
人の『生死』のこと、『人』のこと。
生きることも死ぬことも同じ、そうではなかった。
人が生きることに執着するのは、想いがあるからだ。
何かをしたい、何かを誰かを守りたい、
そういう想いがあるからこそ、人は生きようとする。
今までのアキラには、そんな想いがなかったから、
生きていても死んでいるのと同然で、
何も起こさない起こらない日々の中で、息をしていただけだった。
アキラの想い。
大事に思い、側にいたいと思い望む、グンジを、グンジの側に。
理由もどういうものなのかも未だに判らないけれど。

知ったアキラは、今の状況に沈んでいた。
自分がどう思っていようとも、グンジにはどうでもいいことだ。
『物』に飽きてしまえばそれまで。
だから、聞くことも告げることもしない、できない。
地の底にいるようだ。
周りには何もない、誰もいない。
自分の声だけが反響して虚しく返ってくる。
いつも独りだった。
慣れていたはずの独りが、何故こんなに虚しいと思うんだろう。
感じたことのない痛みを持ち、淋しいと思うんだろう。


 ◇ ◆ ◇

『城』の中がやたらと騒がしい。
外から何か音がしている。
思えば、今朝目覚めた時からそうだった。
アキラはそれに興味がなく、他のことに気を取られていた。
今日は一度もグンジの姿を見ていない。
目が覚めて少しすると、どうやってそれを嗅ぎ取るのかは謎だったが、
グンジが部屋へとやってきて、食事を置いていくのが毎日の日課、
そうなっていたのに。
どうかしたんだろうかとそれだけを考えていたが、
流石にこうも慌ただしい気配を感じると、気になってくる。
グンジが部屋を訪れない理由もそこにあるかもしれない。
立ち上がり、身支度を整える。
そうして部屋を出ようかとしたその時、扉が開かれた。
扉を開けこちらにやってくるのは、誰でもないグンジだった。

「タマァ、お引越しだ。荷物持て」
「・・・」
「聞こえてっか?お引越しだって言ったんだよ」
「な・・んで?」
「ん~?戦争始まんだってさ~。シキティーも壊れたし、
 ビトロがキレててめんどくせェし、もうここに用がねェからお引越し」
「・・・」
「あー、タマ何ぼーっとしてんだよ。内戦だとよ。ほら行くぞ」

戦争が始まる、それがCFCと日興連との内戦だというのは判る。
判らないのは自分を連れて行こうとしているグンジだった。
自分に飽きたのではなかったのか?
必要最低限にしか関わろうとしなかったのは、
そうだったからじゃないのか?
暇潰しとしか思っていない物を何故一緒に連れて行こうとするんだろうか?
非常事態の今、それは邪魔になるだけじゃないのか?
……。
浮かんだその疑問を言葉にはできず、
アキラの口から出たのはたった一言だった。

「なんで・・・?」
「だから、何回も言ってんじゃん。
 耳ついてねぇの?そこについてんの何?足ィ?
 戦争始まるっつーから、ビトロがここから逃げるんだとォ。
 ビトロは気に食わねェけど、ビトロのメシはうめぇし、
 同じようにいくらでも殺してもいいっつーし、
 ジジもとりあえず行くっつーし・・・。
 それに、俺、軍人とか殺すのつまんねェしさ~。
 アイツら死んでもいいですって、かかってくんじゃん?
 それってゲロゲロ~って感じじゃねェ?」
「・・オマエ一人で行けばいいんじゃないのか?
 俺を連れて行く必要がどこにある。
 飽きたんだろう?俺を物としてしか見ていないんだろう?
 じゃあ、置いていけばいい。
 俺をこれ以上どうしようっていうんだ!」

側にいたいと望んでいるのに、
アキラの口から吐いて出てくる言葉は捻くれた言葉ばかりだった。
違うと心で思っても、それを素直に出すことはできなかった。
アキラが望んでいることはただ側にいればいいと、
そういうことではなかったから。
……。
俺はグンジに何を望んでいるんだろう。

アキラが叫ぶように言った後、グンジは即答した。

「ナニワケわかんねぇ言ってんの?タマはタマだろ?物じゃねぇ」
「・・・・」

同じじゃないか。
口には出さなかったがそう思った。
アキラの視界が何かでぼやけて見えにくくなる。
なんだろう。
考えているうちに、グンジがアキラに向かって歩いてきた。
目の前に立ち止まった途端に、グンジはアキラを担ぎ上げた。

「っと。タマはめんどくせェな、ったく」
「・・・ッ!放せッ!!」

いつものように力では贖えないとわかっていたが、アキラは声を上げる。

「タマ、何泣いてんの?
 ワケわかんねぇこと言うし、ワケわかんねぇことするし・・・。
 ま、いいけどなァ」

歩き出すグンジの背中をアキラは拳で殴った。
僅かな力でも、それでグンジが立ち止まり、自分を置いていくことを願って。
どうして自分が泣いているのかなんてどうでもいい、
ただ置いていかれるのだけを願ってグンジの背中を殴り続けた。
部屋を出て廊下の中ほどまで進んだ所で、アキラは呟く。

「・・なんで・・・・・」

グンジの足が止まったが、少ししてまた歩き出した。
歩く速度が僅かに遅くなり、足下からグンジの声が聞こえた。

「何でって・・、わかんねぇ、俺も。
 けど、アキラは俺のトクベツなんだって~。
 代わりがないトクベツって言われた。
 代わりがないなら守らなきゃいけねぇんだって。
 意味わかんねェけど、アキラの代わりはいねぇ気がするし、
 だったら大人しく聞いてやろうと思った。
 つか、俺ん中変なヤツがいんだよ~、気持ち悪ぃ・・・」

コイツは自分の言っている意味を判って口にしているんだろうか。
……。
きっと判っていないんだろう。
そうして無自覚に無意識にアキラを奪って攫ってしまう。
変な奴に、やっかいな奴に捕まってしまった。
気が付いたときにはもう遅い。
呆気に取られて、アキラの涙は止まってしまっていた。

「気持ち悪いっていやー、何だったんだ、アレ」
「・・・何が」
「・・・ビトロがついて来いっつーからジジと一緒に行ったら
 何か変な奴がいてさ、最悪な奴。
 シキティーと話してたのに、急に俺の顔ジロジロ見やがって、
 『オマエは染めた者をどうする』とか何とか言うんだよ」
「・・・・・、それでソイツどうしたんだ?」
「あー・・・死んだ。したら、シキティーが壊れた。
 サイテー、サイアク。
 ビトロがキレて、ギャーギャーウルセーし、
 引き上げた途端に引越しだって言うんだもんよ。
 アイツ、マジムカつく」

アルビトロや他の文句を並べるグンジの声を聞きながら、
グンジの顔をみて尋ねた男は、きっとあの時会った男なんだろうと思った。
何者なんだろうか。
考えた所で、もう死んでしまったのでどうしようもない。
けれど、どこかで少し可哀想だと思うアキラがいた。
理由はわからないけれど。





________________

血飛沫が顔にかかり、それを舐めた。
不味いと思って、舐めたそれと一緒にグンジは唾を吐く。
周りをみると、生きているものは居なくなっていた。
ただ一人を除いて。

「ア~キ~ラ~、・・・終わった?」
「・・あぁ」

こちらを見たアキラは、
ナイフの血を払いながら無表情な顔をして簡潔に答えた。
グンジは未だに掃除をしている。
掃除といっても、トシマでやっていたイグラの掃除のようなものではなく、
依頼を受けてイラナイと言われる奴を狩る、それだった。

アキラとグンジがトシマから出た後、
すぐに戦争が始まり、ヴィスキオはひとまず逃亡の日々だったが、
2年後に戦争も終わり、ニホンという国は一つに統合された。
平和という形になったが、所謂『裏社会』がなくなるわけではなかった。
ラインで得た資金と用いて、ヴィスキオは名前を変え、
表は病院と薬品製造メーカーを創設し、
裏では掃除屋、アルビトロの趣味である奴隷作りなどをやっている。
グンジとアキラは、その裏の仕事をしている。
キリヲもそこにいたが『御守役は一人で充分だろう』と一人で遊んでいる。

そして、
トシマを出た後、アキラは自分の中の獣を知った。
戦争の最中、移動していると軍の兵たちと出くわすことが多々あった。
ある時、いつものようにアルビトロと狗とアキラは被害のない所へ避難し、
グンジとキリヲはその兵たちを嬉嬉として殺していたのだが、
どこからか出てきた兵がこちらに走ってくるのが見え、
自分の身を守るためにアキラは仕方なく剣をとった。
久しぶりの戦闘に少し梃子摺ったが、アキラは容赦なくそれらを斬り捨てた。
そうしている間、
その行為を愉しんでいる自分がいることにアキラは気が付いた。
気のせいかと思ったが、似た出来事に遭遇し、
その回数が増えていくごとにそれは段々と膨らみ、
アキラの中に根付いていった。
狩ることが愉しいと思っているグンジの気持ちが判った気がした。
アキラにはグンジほどの狂気や衝動はなかったが。

仕事が終わったアキラは、
グンジと並んで報告のために会社に向かっている。

「アキラ~、今日何食う?メシ何?メシー!腹減った~」
「・・・・・」
「あー、やっぱ肉だな、肉。で、アキラはオムライスー!」
「・・・・・」
「アキラ、何か喋れよ~。つか、返事しろよ」
「・・・・・そうだな」
「何だよソレーェ。つれねぇなァ・・・」

あれから五年も経っているが、アキラはグンジに何も告げていない。
トシマで、グンジの部屋で、想ったことを何一つ。
必要がないと判断したのもあるが、
伝えたところでこの目の前の獣にそれが理解できるのか判らなかった。
時々噛みつかれたり、斬られたりすることがあるが、
グンジがアキラとそれ以外、区別して考えていることは感じられたし、
トシマから脱出する際に、グンジの口から出た言葉、
『代わりのない特別』それだけでいい気がした。
人と係わるのは相変わらず苦手だ。

雨が降る日。ふと考える。
ケイスケが死んだ日、アキラはケイスケのことを知りたいと、
知ろうとしていたとしても不快ではなかっただろうと思ったが、
それはどこか違う気がする。
グンジであったから、グンジに関わることであるから、
何かを知っていく自分が不快ではなかったのだと思う。
ならば、自分が勘違いしなければ、飛び出していかなければ、
ケイスケはあんな死に方をしなくてもよかったんじゃないだろうか。
アキラのことを慕ってくれたあの幼馴染は。
そんな日、アキラは縋るようにグンジを求める。
知ってか知らずかグンジはそんなアキラを貪り、瞼に口付ける。
アキラはそうされながら少し泣いて狂う。
そして、忘れる。
自分が大事だと想う相手の腕に抱かれながら。
自分のことを特別だと言ってくれた獣の腕に抱かれながら。
グンジが側にいれば、いてくれればそれでいい。



了。





 



終わりました。。。一応、グンジEND補完ということで…。つか、お題借りてきて補完ってどうなの、あたしよ。。。しかも、消化してるのかどうなのか…。あぁあ、なんか、やってしまった、やったった、そんな感がいっぱいです。動悸がします。苦情、感想、その他ありましたら、またお送りください。

 

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女子です。腐女子です。
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シキアキ&グンアキ愛
グンジが可愛くてしょうがありません。
グンアキを取扱中です。

drrr!!(現在アニメのみ)好きww
シズちゃんがすごくすごく好きです。
けれどdrrr!!はみんな好きだ!
静臨を取り扱い中です。

バンギャ?であったりします。
月と海の四弦さん好きです。
虹の歌うたい(ちっちゃいおっさん)が
世の中で一番好みです。

づか好き芝居好きです。
づかはどの組の大劇にも1回は出没します。
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