[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
ああぁ、アキラよ…(ほろり)
-addiction-
+鳳雛の孵化+
-トシマ、ヴィスキオ、
いくつもの部屋の扉が並んでいる。
この廃墟、汚辱の巣窟であるトシマで、
破壊-外見は所々崩れているが-の後が僅かであるのは、
ヴィスキオの拠点、通称『城』、ここだけである。
イグラ中立地帯を除いて、他の建物は外見も内装も
見るに無残な姿をしており、少し振動を与えれば忽ち崩れ落ち、
見事なまでに崩壊するであろうものばかり。
類は友を呼ぶ、
その言葉通りに退廃した街には退廃した人間・組織が集まり、
ヴィスキオはトシマの頂点に君臨する麻薬組織である。
そのヴィスキオ、組織の頂、王-イル・レは、実体が全く見えない。
ヴィスキオ外でその姿を目撃した者はおらず、
本当に存在するのか…と疑う者までいるほど、その護りは鉄壁。
その、イル・レ戦のみに姿を現すという王の代行として
ヴィスキオを取り仕切っている者がアルビトロという名の男である。
アルビトロは、けばけばしい形をしており、一言で済ますと趣味が悪い。
白のスーツ、原色のシャツ、原色のネクタイ、
それに用途不明のmedium violet redからグラデーションになっている
ファーをいつも身に纏っている。
そこまでも十二分に堪えられないモノであるのに、
プラスして顔には白の仮面を着けており、
その部下たちも同じような仮面をしている為、
『城』は毎日がマスカレード仕様となっている。
形がそうであるから、ヴィスキオの『城』の内装も…。
そんな彼、アルビトロには一つ、特技とも言う趣味がある。
作品を作る、奴隷を作るという趣味が。
彼の最高傑作が、城にいる間はアルビトロの側を離れようとしない、
一匹否一人の青年、狗である。
レザーの衣装、胸から腹にかけての縫合跡・ボディピアス、
猿轡、喉の奇妙に盛り上がった手術跡、目元は黒い布に覆われている、
その姿は痛々しく、毒々しい。
毒に魅入られた者しか理解できない美しさ。
そのアルビトロの下に一人の青年がやってきた。
アルビトロの仕掛けた蜜に誘われやってきた蝶、名前をアキラという。
狗の番いにしようと、アルビトロの調教が始まった。
最初は薬漬けにしたが、アキラは元々痛みを好む性質を持っていたようで、
すぐに従順なイヌとなった。
もう少しで躾の過程を終え、完成するとアルビトロは北鼠笑んでいた。
◇
一人の青年がたどたどしい足取りでゆっくりと階段を上っている。
とはいっても、それは二本の足でではなく、四つん這いの格好で
手と足を使って登っていた。
手には拘束具がついていて、動きづらそうにしながら。
筋力が落ち、歩く走る、今ここでそれをすると、
本当の意味で逃げ出す時に自分の体が役に立たなくなると判断したから
僅かにしか進めないが、そうしていた。
そう、彼、アキラは逃げ出そうとしていた。
彼と壁とを繋いでいた鎖が外れていたから。
それは、アキラが哀願し渋々ながらアルビトロが納得した
-作品が物を言うなど、アルビトロには許されない事であったが、
何にせよアキラはアルビトロにとって特例だった為、
アキラの願いを叶えることにした-から。
アルビトロによるアキラの調教、躾は完璧だった。
痛みを受け入れてそれをさらに求めるようになり、
少しでも甘く触れられれば体は反応し懇願するように相手を求める、
主であるアルビトロの命令には、どんなことでも逆らわない。
アキラはすべてそれをクリアし、
アルビトロは自信満々に自分の技術を誇らしく思っていた。
たった一つ見誤っていたこと、それはアキラがアキラであったことだろうか。
薄氷ようなの脆いそれで全てを拒んでいたアキラ。
脆くともそれは強固だった。
アキラは確かに全てを、自分の中の衝動を認めた。
崩壊、ある意味そうかもしれないが、
以前の“アキラ”が終わってしまったそれだけで、
新しい自分“アキラ”を拒否することなく受け入れ、そう生きることにした。
では、どうしてアキラはアルビトロから逃げ出す必要があるのか。
理由は一つ。
アルビトロを主として受け入れることに、
漠然とではあったが、拒否する自分がいたからだった。
飼われるにしても、動物、ペットや所謂奴隷のように、
意思なく主を選べないような状況ではない。
自分の主となる者を自分で選びたいとアキラは思い、
今こうして階段を這いつくばって登っている。
アルビトロは夜半過ぎにしかやってこない。
『城』の内部はわからないが、出口はわかる。
それを目指してアキラは、体を進めていた。
やっとのことで地下室から地上、一階へと出たアキラは
歩こうかとも思ったが、アルビトロに遭遇してしまった時には
連れ戻されるのがおちだと思い、その時の言い訳として
「アルビトロを探しにきた」とする為に
今までと変わらぬ体勢で廊下を進む。
廊下には幸い誰もいなかったが、
いつどのような形で人と出会うかもしれない。
アキラは従順なアルビトロのイヌとしての形を崩さなかった。
もう少しで、玄関のエントランスへ到着しようとする時、
運悪く足音が聞こえてきた。
「腹へったぁ・・・」
アキラの耳に声が聞こえた。
どこかで聞いた事があるような、ないような。
以前の“アキラ”の記憶は引き出しの奥底の方へ追いやった、
追いやられていたので、新しい“アキラ”には、
うまく繋ぎ合わせる事ができずに、曖昧だ。
可愛らしく首を傾げながら、こちらへやってくる男を見た。
瞳に映った男は、長い前髪のせいで容姿の全てを確認することができず、
その双眸にどんな色を抱えているのか、
どんな目で見つめるのかわからずで、何を考えているのか全く読めない。
手がかりは、緩くてそれでいて尖っている、
純粋、単純、まだ知識や理性も浅い子どものようなその雰囲気。
今の“アキラ”に似ている気がした。
自分の欲、それのみで生きる、生きることを望んでいる、
欲しいものは欲しい、嫌なものは嫌だと
泣き叫びながらそれを強引に周到に押し通そうとする、そんな。
決めた。
決断は唐突で即断。
偶然なのか、必然なのか。
理由なんてわからない。そんなのどうでもいい。
アキラの双眸に映った金色の男、
誰なのか、どうしてここにいるのかさえわからないが、
目の前の人物になら飼われてもいい、食われてもいい、
それがいいと、体全部、心全部で思った。
その選択が間違っている、いないはわからない。
けれど、そう思う自分がいるのだからそれに従う。
子どもは本能のままに生きるもの。
アキラはどこか気味の悪い微笑を浮かべた。
あの男は、甘い痛みを苦い快楽を与えてくれるだろうか。
◇
アキラを気に留めることなく、イグラの監視者、
処刑人グンジはゆっくりと歩く。
何かの気配は感じていたが、
それはグンジにとって面白いモノではなかったために無視していた。
ここにいる者など、アルビトロの指示により妙な仮面をつけた
味も匂いもしない輩だけ。
何より腹が減っている-廊下の少年像を蹴り飛ばして壊してしまったために
「罰として一日食事抜きだ」とアルビトロに宣言され、
昨日から何も口にしていない-のだ。
そのため、他を考えるスペースが頭にいないグンジは、
邪魔にならない余計なものの事など、構ってられない。
足を進めていると何かを蹴った感触が足に伝わってきて、
このクソ忙しい時に何なんだと思って、足下を見れば人間が転がっていた。
そんなに勢いがあったわけではなかったが、か弱いというか何というか。
視線をやれば見覚えのある服と顔。
「・・・んだよ、ビトロの新しいポチじゃねぇか」
つまらなさそうにぽつりと呟き、そのまま無視して通りすぎた。
少し前に嫌々ながらも命令だと言われ、
自分とキリヲが連れてきたアルビトロのお気に入り。
キリヲに言われるがまま覗き込んだ双眸はまったく濁っていなかった。
あの時に興味を覚えたのだが、
頭の足りないそれは呆気なくアルビトロに捕まった。
面白くない。
興味を覚えたものを横取りされたこと、
しかも相手がアルビトロであったこと、二重に。
けれど、悔しいことなどすぐに忘れてしまうので、もうどうでもよかった。
通りすぎた、無視した、そうだったのだが、気配が一向に消えない。
ふと立ち止まり後ろを見ると、イヌが後を追ってきていた。
少し見つめると、イヌはグンジを見上げてにっこりと微笑み、
見えない尻尾を大きく振っている。
面倒だと、グンジはもう一度それを無視することにして、
食堂へ向かうために再び歩き出した。
「・・・・・」
グンジが歩けども歩けども、やはりイヌは後をついてくる。
空腹で機嫌が悪い所へイヌが現れて行く手を邪魔してそれに苛立ち、
それを無視したのにもかかわらず後をついてくるイヌの様子に、
グンジの機嫌は益々険しい方向へと向かっていた。
「何なんだよ、オマエは。
ポチは飼い主んトコ行きゃーいいだろうが。
ほら早く、行け。俺の前から消えろ」
らしくなく少し声を荒げれば、イヌの耳は僅かに下がったが、
何も考えられなくされてしまったイヌは
めげずにこちらを一心に見つめている。
「俺のこと、嫌い?」
いい加減にめんどくさくなったグンジが蹴りを放とうとした時、
目の前のアキラがグンジに言葉を投げた。
コイツ…、喋れるのか?
アルビトロに作る人形に、グンジは一欠けらも興味がない。
一番最初に出来上がったその作品と言われるそれを見たことがあった。
鈍い動き、ささやかな呻き声をあげる、ただ息をしているだけの人形。
気持ち悪い。
精神的にどうこうではなく、グンジが興味もなにも湧かない抜け殻に
拘る奴、奴隷を買いにきた奴は頭がオカシイと思った。
それから人形たちを見ることは一切しなかったが、
大概似たような入れ物だけになったそれらは
喋ることをしなかったし、自分の意思を持っていなかった、と思う。
このイヌは喋れる…、
ビトロのお気に入りだからそういう仕様に作ったのか?
そんなことを思うグンジに、アキラはもう一度同じ言葉を口にした。
「俺のこと、嫌い?」
何故そんなことを聞かれるのか、判らない。
…あぁ、消えろって言ったからか?
思い当たって、聞かれる理由は消化したので、
投げ掛けられた問いに取り掛かる。
嫌い…嫌い…嫌い??
答えはすぐに出た。
「わかんねぇ・・」
「・・・・よかった」
嫌いも何も関わりを持っていないそれに対して、
何かの感情を持つなど在りえないと思って判らないと口にしたが、
グンジの答えを聞き顔を綻ばせるアキラにグンジは目を丸くした。
何だコイツ。
アキラはグンジにかまわずにずっと笑顔を浮かべていて、
それを見ていると、グンジはどうでもよくなってきた。
踵を返しまた歩くグンジと、そのグンジの後を追うアキラ、
『城』の廊下に奇妙な光景ができあがった。
食堂についたグンジは「メシ」と大きな声で叫び、
テーブルの前の椅子に座った。
そこまでは通常のグンジの食事前の風景。
違うのは、グンジが椅子に腰掛けた瞬間にアキラがその上へ
跨るような形で上に乗ってきたことだった。
呆気に取られ、グンジは視線を上げてアキラを睨んだ。
大抵の人間はそこで竦みあがり、逃げようとするのだが、
アキラはそれとは逆に、先程見た同じ笑顔をしてグンジを見ている。
「何、乗ってんだよ。邪魔だ。退け」
「嫌」
アキラは簡潔にそう答えた。
ムカつく。
アキラの体を持ち上げようとするが、
そうした途端にアキラはグンジの首に
拘束された腕を通して離されまいとし、
挙句の果てにグンジにぎゅっと抱きつき、もう一度嫌だと言った。
「放せ、バカ・・・」
絞めるように抱きついてくるアキラに、グンジは呆れたように言ったが、
それを聞いたアキラは余計に力を込めてくる。
殺るのもめんどくせェっつーか興味ねェ。
端からそう思っているグンジは、アキラに無理に手をあげようとはしない。
暫く放っておくと、アキラの力が緩まり、身を起こしてグンジを見た。
「ねぇ、俺を飼ってくれない?
好きか嫌いかわからないってことは嫌いじゃない、そうだろ?
じゃあ、俺の飼い主になって。俺の主になって」
グンジは今まで感じたことのない、所謂頭痛というものを初めて経験する。
何言ってんだ?コイツ。
理解不能なアキラにグンジは困惑する。
グンジが頭を抱えるなどないことで、実質、これが最初となった。
答えを待つアキラを暫く眺めた後、これ以上考えるのも
アキラと喋るのも嫌だったグンジは、御座なりに答えた。
「わあーった、飼ってやるから膝から下りろ」
「ホントに?」
グンジの言葉を聞き、花が咲いたような笑顔を見せたアキラは、
確かめるようにグンジに問い、それにグンジが頷いてみせると
アキラはもう一度笑ってグンジに顔を近づけてきた。
避ける暇も力も、驚きのために見失い、
グンジはアキラからの口付けを享受していた。
触れるだけだったキスは、
何時の間にか割り入ってきたアキラの舌で深いものへと変わる。
ぴちゃと水音を立てて、アキラの舌がグンジの舌に絡んでくる。
何度も繰り返されるそれにグンジのものかアキラのものか、
混ざり合った唾液がアキラの顎から首筋を伝って光った。
最後にごくりと唾を飲み込み、漸くアキラはグンジを解放した。
イイだけじゃつまらない、
グンジの持論を覆すような感覚。
ふるふると頭を振り、グンジは自身の目を覚まさせるような仕草を見せて、
アキラの顔をもう一度見た。
アキラの顔には相変わらずの笑み。
変な奴だし、鬱陶しいな、コイツ。
考えるのが億劫で口にしてしまった承諾に、
何かを思ったグンジだったが、すぐに忘れることにした。
「俺、アキラっていうんだ。アンタは?」
「・・・・・・・・・・・、グンジ」
グンジの名前を嬉しそうに繰り返すアキラと、
それに僅かに圧されているような処刑人グンジ。
また『城』の食堂に奇妙な光景ができあがった。
飼い主になることを承諾してしまったことで、
この後自分の身に降りかかる『めんどくせぇ』数々を
この時のグンジはまだ知らない。
えーと、スミマセン…、書いた本人はすごく楽しかったです(苦)矛盾とか繋がってない話(それぞれの性格とか)は苦手というか自分で書くのは苦しくなるんですが、こういうのはアリだろうと思っています。だってアキラがグンジに一目惚れですよ?楽しくありません?(反省しろ)あ~、これから色々とやってくれそうで、もはもはしてます(笑)
02 | 2025/03 | 04 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | ||||||
2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 |
9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 |
16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 |
23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 |
30 | 31 |
基本、ユルいです。
ギ/アス猛烈愛
ルルは右属性です。
女子相手でも右です。
言ってしまえば、総受です。
スザルル・シュナロイを取扱中です。
BLゲーム 咎狗の血
シキアキ&グンアキ愛
グンジが可愛くてしょうがありません。
グンアキを取扱中です。
drrr!!(現在アニメのみ)好きww
シズちゃんがすごくすごく好きです。
けれどdrrr!!はみんな好きだ!
静臨を取り扱い中です。
バンギャ?であったりします。
月と海の四弦さん好きです。
虹の歌うたい(ちっちゃいおっさん)が
世の中で一番好みです。
づか好き芝居好きです。
づかはどの組の大劇にも1回は出没します。