[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
らぶってないですが、らぶです(何それ…)
-赤くて、甘くて、酸っぱくて-
◇ ◇ ◇
ヴィスキオ-『城』は変な所だった。
少年像を筆頭に悪趣味な装飾品が並べられてある。
地下室に拷問部屋がある。
見たことはないが奴隷の置かれている部屋がある。
変な仮面をつけた男たちがいる、というかそれしかいない。
狗という人間犬がいる。
処刑人という獣がいる。
アルビトロという頭がオカシイ趣味の悪い人物がいる。
…もう充分だろう。
つまり、どこをどう引っくり返そうが、イカレたモノしかない。
人の趣味をどうこうと指摘しようとは思わない。
面倒だ。
自分は自分。他人は他人。
勝手にすればいい。
けれど、そのど真ん中に自分が無理矢理入れられたとしたら…。
通常の、普通の人間ならば、
この状況を何とかしようと考えたり、置かれている自分を哀れんだり、
苦悩するだろう。
男-アキラは普通の人間だった。
だったが、アキラは何にせよ、すべてのものに無頓着だった。
無論、多少この有様に頭痛を感じたりしたが、
自分に不利益、害がなければ、どうでもいいと思う性格が、
考えさせるのをやめ、見て見ぬふりをさせた。
ただ、ひとつ。
アキラを悩ませるのは二人いる処刑人の一人、グンジだけだった。
自分を拉致し、このカオスに連れ込んだ張本人。
アキラを暴力で捻じ伏せ、笑いながら犯し、
泣き叫ぶ様子を恍惚の表情で見つめる。
突然それが180度変わり、まるで愛しむかのように接する。
変化があまりに大きすぎて、アキラの思考、心は
まったくついていけず、困惑するばかり。
それだけなら、まだいい。
耐えられない屈辱感を味あわせた人物の下から
離れようとはしない自分。
考えても考えても出てこない答え-心-。
もどかしさに苛々しながらも、
時間はあっという間に流れて、アキラを通り過ぎていく。
不可解なグンジ。
不可解な自分。
崩壊するのが早いのか。
光を手にするのが早いのか。
◆ ◇ ◆
部屋に入ると、アキラは窓際に立っていた。
いつも閉めてあるカーテンが開かれていて、
外からの光が部屋に差し込んでいる。
日の光というにはあまり頼りない光。
その光に包まれているアキラがいた。
頭の中に出てきた言葉、一つ。
綺麗、だな。
人を見て綺麗だと思ったのは、これが二度目だった。
息をのまれる、そういうのじゃなく、ふわっと広がる想い。
2度目の今度は、違う何かと一緒にグンジの中に溢れる。
またあの気持ちの悪いアレ。
何なんだと舌打して、それを消し去るよう首を振った。
◇ ◆ ◇
立ち尽くしていたグンジが急にこちらへ近づいてきて、
おもむろにアキラの腕を掴んで部屋から出た。
アキラがどこへ行くのかと尋ねても、グンジはイイトコだとしか言わない。
グンジのイイ所なんて、碌な所でない事は明白。
アキラは自由にされている指を使って
何とかグンジの手を腕から離そうとするが、
グンジの手、指はアキラの手首と
くっついてしまったんだじゃないかと思うくらいに固く離れない。
「・・った・・・」
一つの扉の前に立ち、グンジは止まった。
いきなり止まったグンジの背中にアキラは顔からぶつかった。
下を向いていたために、鼻を潰すことにはならなかったが、額が痛い。
何をするんだと非難の目をグンジの背中に向けるが、
グンジは気がつきもせず、構うことなくドアを開けた。
10人は軽く超えるくらいに肩を並べられる大きなテーブル、
その前に用意された椅子の一つにアキラは座らされていた。
座っているのはアキラとグンジ、二人だけ。
たくさん椅子があるというのに、グンジはアキラの隣に陣取って、
退屈そうに欠伸をしながら椅子を前後に揺らしている。
ここはどこだ?
初めて連れてこられた部屋。
アキラには何をする所なのか検討がつかない。
動けるようになってから、グンジの部屋から初めて出た。
判らなくても当然だった。
『城』の中で知っている場所といえば、
グンジの部屋、1階のエントランス、
イグラの参加希望の者たちが集められる控え室、それのみだ。
何かが始まるのではないかという不安が渦巻き、
アキラは久しぶりに警戒心を露にしていた。
隣に座るグンジの何を考えているのかわからない怠惰な態度も、
アキラを煽る要因にしかならない。
焦るアキラと、のんびりとしたグンジ。
対照的な彼らの前で、入ってきた扉とは違うドアが開かれた。
ぴくりとアキラの体は反応し、警戒して身を強張らせる。
仮面をつけた男たちが二人。
アキラたちの側へゆっくりと近づいてくる。
唾液を飲み込み、じっと獲物を見据える目で見る。
ふいに何かの匂いがアキラの鼻腔をくすぐった。
……。
気をとられていると、男たちが声を発した。
「お待たせしました」
一人の男が屈む仕草をしてアキラの目の前に何かを置いた。
グンジの前にも同じものをもう一人の男が。
「失礼致します」ともう一度声をかけた後、
静かにアキラに何の危害を加えることなく立ち去っていった。
……。
眼下には、黄色と赤色と。
それはオムライスと呼ばれる食べ物の形をしていた。
何か異様なものを見るような目で
アキラは目の前のオムライス、なんだろうそれを凝視していた。
「なんだァ?タマ、オムライス嫌いなの?」
なら俺が食ってやるよとグンジの手がアキラの前の皿にかかる。
アキラはそれを阻もうと俊敏な動きで自分の向こうへ移動させた。
自分のその行動に気恥ずかしくなったアキラは、
舌打をして、それから小さな声を出した。
「・・・嫌いじゃ・・・ない」
チラリと見たグンジはアキラの様子を気にする様子もなく、
すでにグンジの前に置かれた皿のオムライスを頬張っていた。
その様子にアキラは拍子抜けし、溜息を吐く。
……。
これを食べるか、食べないか。
妙なものが入っていると困ると思ったが、
今までグンジの部屋で口にしてきた食べものは安全だった。
出は同じ所であるだろうし、グンジは何ともなさそうな顔をして食べている。
視線を皿に戻し、戸惑いながらも卵とご飯を一緒に掬い、
スプーンを口に入れた。
……。
美味しい。
好物じゃない、ソリドの味の中では比較的に好きだっただけだ。
何かに誰かに言い訳しながら、アキラはもう一口食べる。
何かがあると訝しみ、そう思い込んでいた自分、
奪われると思い咄嗟にしてしまった行動。
思い出して、アキラは一瞬顔を赤くした。
情けなさと羞恥。
憮然としながら、黙々とオムライスを口に運んだ。
隣で食べながらグンジの喋るアルビトロとキリヲ、シキへの文句や
食べ物などの色々な話を聞き流しながら、
皿が空になるまで、黙って食べるという一連の動作を繰り返した。
食べ終わる頃には、少し跋の悪さは感じていたが、
アキラの心も平常心を取り戻していた。
最後の一口を噛んで飲みこみ、隣に置かれていた水を飲んだ。
最近、思うことがある。
食に関心のないアキラだが、ここ-ヴィスキオの食事は美味しい。
収容所にいる間、偽りの家族といた間、
ソリド以外の食べ物も口にしていた。
けれど、味わう、そんな風に食べたことは
一度もなかったので味なんて覚えていない。
家を出てからもまともな食事など取らなかった。
だから他と比較することはできないが、
味覚はおかしくないだろう自分が美味しいと思うのだから、
誰でもそう思うんじゃないだろうか。
グンジも「ビトロのメシうめぇからな~・・・・」そう言っていた。
ここの食べ物を食べる回数が増えるごとに
色々な味の違いがわかるようになり、余計にそう思うようになった。
不思議だった。
グンジはこうして自分に食事をさせて、
いったいどうしようと言うんだろうか。
疑念は強まるばかりで、一向に収まる様子をみせない。
そうして、隣のグンジを見れば、
満足そうな顔をしてアキラより遅れて最後の一口を喰らっていた。
グンジの前に置かれたオムライスはアキラのものより
ひとまわり大きなものだったのに、もう完食したらしい。
お世辞にも綺麗と言えない、
食い散らかしたという言葉がぴったりの皿があった。
……。
もしかすると、何も考えてないのかもしれない。
今のグンジから発せられるものを考えると、
何となくそんな気がして、アキラは苦笑を洩らした。
グンジがアキラへと振り向く。
口の端にオムライスにかけられていたケチャップがついている。
……。
もしかしなくてもそうかもしれない。
僅かだったが、アキラの顔に微笑が浮かぶ。
「オイ、ついてるぞ」
「・・・んあ?・・」
「だから、ついてるぞ、口の端に」
首を傾げながら、グンジは口の端に指を運ぶ。
「反対だ・・・」
グンジは素直に逆の口の端に指を持っていき、
指先についたケチャップを眺めて口を開いた。
「もっと黒いし赤いけど、血みたいだよなァ。
・・・酸っぺぇ。タマの血は甘くてオイシーのにな・・・」
指を舐めて、狂った笑顔じゃなく無表情で呟くグンジに
アキラは凍りついた。
「ア?・・・んな顔すんなよ。オマエ、もうタマなんだからさ」
また意味不明の言葉を言われたが、無視した。
それより前に、触れるグンジの空気は
危険なものではないと思っていたから。
そう感じて安心する自分に嫌気がさした。
「さ、行こうぜ~。メシは食ったし、こんなトコに用はねぇし」
「・・・ああ」
返事をして立ち上がろうとしたまさにその時、
扉が開く音の後、何かを引き摺る音が聞こえた。
「ナァにやってんだァア?」
振り向いた先にはもう一人の処刑人、キリヲの姿が見えた。
相変わらずの巨体に鋭い目つき。
犬歯が覗く皮肉に上がった口。
「タマにメシやってた」
グンジはそうマトモに返して、
来た時と同じようにアキラの腕を掴んで引っ張り上げ、
開かれた扉に向かう。
キリヲに近づいていくごとに、心音が早くなる。
どうしてだろうか。グンジと同じ処刑人であるはずなのに。
そんなことを思った時、目が合った。
「ヨォ、嬢ちゃんじゃねぇか。
・・・飽きたら俺んトコに来いよォ?」
「ジジィ、・・これ俺んだから。・・・・・手ェ出したら殺す」
ふざけるな!そうアキラが口を動かす前にグンジがキリヲを威嚇していた。
殺気を隠さない空気と緩い空気とがぶつかる。
「おっかねェなァ・・ヒヨ」
笑ってそう言うキリヲの横をグンジは睨んだまま通りすぎた。
アキラは黙ったままグンジに大人しく手を引かれて部屋へと戻っていった。
「・・・おもしれぇナァ、まったくよ」
誰もいなくなった食堂にキリヲの低い声が響いた。
前の拍手文です。拍手にグンアキ置くべき?よね…と勝手に思い書きました(笑)
咎狗書いてると1回は書いてみたかったんですよね、オムライスネタ。念願叶いましたが、あまりに…(涙)とりあえず、グンジのケチャップを舐めろとは言わないけれど、手で拭ってあげるくらいになって欲しいものです…グンアキのアキラ(笑)
とかって思ってたら、新しいので書けそうなので、一人でモゲモゲしてしています…。
02 | 2025/03 | 04 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | ||||||
2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 |
9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 |
16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 |
23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 |
30 | 31 |
基本、ユルいです。
ギ/アス猛烈愛
ルルは右属性です。
女子相手でも右です。
言ってしまえば、総受です。
スザルル・シュナロイを取扱中です。
BLゲーム 咎狗の血
シキアキ&グンアキ愛
グンジが可愛くてしょうがありません。
グンアキを取扱中です。
drrr!!(現在アニメのみ)好きww
シズちゃんがすごくすごく好きです。
けれどdrrr!!はみんな好きだ!
静臨を取り扱い中です。
バンギャ?であったりします。
月と海の四弦さん好きです。
虹の歌うたい(ちっちゃいおっさん)が
世の中で一番好みです。
づか好き芝居好きです。
づかはどの組の大劇にも1回は出没します。