版権二次創作を含んだ非公式ファンブログです。各版権元様とは一切無関係です。コードギアス、咎狗の血、デュラララ!!、その他について書き散らしております。え゙…と思われる方は、×(ぽちっと),←(ぽちっと)でさよならして下さいませ。
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スザルルです。
『CIVILIZE』の続きにあたるかと。
なので、W反逆。
『CIVILIZE』の続きにあたるかと。
なので、W反逆。
『良夜』
周りは静けさに包まれ、静寂を保っている。
その中、聞こえるのはノートパソコンのキーを叩く音と水を掻く音だけ。
同じ場所にいても、個々を保っている二人は
一見、知らぬ同士の二人に見えるけれど、
この夜の帳の静けさの中、二人でいるのに知らない者同士であるわけはなく。
随分前から信じているのは己だけ。
そんな二人だから、この空気なのだろう。
「 」
パソコンのモニターに目をやっていたルルーシュが、
世界を皮肉った顔を浮かべた。
その様子を水に身体を任せたC.C.が醒めた双眸で見ていた。
可愛い顔をしているのに、
また、善いこと=世間一般で言う善くはない事を思いついたのか、
もしくはルルーシュを喜ばせる善いニュースを見たかのどちらかなのだろう。
けれど、そのどちらも特にC.C.に対して何かをもたらすことはなく、
ルルーシュがヘマをしなければ気にする必要もない。
必要だと言われるまでは何もしない、するつもりもない、から。
力を与え、その選ばれし者の望みが叶い、
そして自身の望みを叶える、それがC.C.
最近は新たに駒が増えたと、本人は隠しているつもりなのだろうが
あからさまに嬉しそうに話していたな…そういえば。
しかし、その駒はルルーシュに扱いきれるのかどうか。
というよりも、もうすでにルルーシュ自身がうまく扱われているということに
本人は気がついていないようだがどうなることか…。
まぁ、そんなことを私が心配しないでも、
その駒は賢いうえにルルーシュを窮地に貶める事は
決してないだろうから、どうにでもなるだろう。
そこまで思って、C.C.は口角を僅かに上げた。
悩み、苦しむのは勝手に任せておけばいいだろう。
身体を回転させて底まで潜る。
水は透明で澄んでいるが、照明を落としているせいで浅いプールでも
底に行くほど、暗く黒く。
瞳を閉じる。
このまま底の底まで堕ちていければ、どんなにか…。
莫迦な事を。
自嘲ぎみに笑って水面から顔を出す。
そろそろ退散しておこう。
駒の登場だ。
予感がして、C.C.はルルーシュに声もかけることをせずに
プールから立ち去った。
住居であるクラブハウスからここに来たのは、
C.C.の「泳ぎたい」という一言から始まった。
何故、こんな時間に…というルルーシュの問いは綺麗に無視され
「水着を用意しろ」
「早く行くぞ」
C.C.はその二言のみで、退くことはなく、
ブツブツと文句を並べながらも
所詮、女子と身内には甘いのがルルーシュだった。
「御前はいったいどこからこの水着を調達したんだ?」
用意をさせたにも関わらずのC.C.の変質者を見るような言葉と視線と
「ありがとうの感謝の気持ちをどうして素直に表せないんだ」
というルルーシュの諦めと呆れた声と顔のやり取りの後、
二人は揃ってプールにやってきた。
中に入ると水を循環させるモーターの僅かな音以外には何も聞こえず、
窓から射す月光に照らされたプールは意外にも落ち着く空間だった。
ルルーシュがそう思ったことを察したのか、
C.C.は嬉しそうな、少し勝ち誇ったような顔をしていて、
目が合ったルルーシュは眉をひそめつつも少し笑った。
少し前、水音でC.C.がプールから上がったことはわかったが、
その背中に声をかけることはしなかった。
どこへ行くのかと聞いても、どこへも行く所はない。
「着替えに行く。御前もついてきたいのか?」などと
からかわれるしかないのだから。
満足したんだろうと推測し、
ルルーシュは普段は決して見せないC.C.に対しての笑顔を見せた。
作業を続けてパチパチとキーを叩く音が響く中、
ふわりと柔らかい香りにルルーシュは包まれた。
香りはどんどん濃厚になり、そして最初に感じた香りと同じ位の優しさで
ルルーシュの左肩にスザクの手が置かれる。
「任務はもう終わりか?」
「うん。…あれ?驚かないの?」
ルルーシュの問いに素直に答えたスザクだったが、
不思議そうな顔をして今度はスザクが問う番になる。
実はまったくの無意識ではあるが日頃の癖なのか習慣は恐ろしいもので、
スザクは音ひとつ立てず、気配を殺して歩いてきたはずで…。
いつもなら「驚かすな」と叱責されるシーンであったのに
ルルーシュは驚くこともなく、妙に楽しげではあるが落ち着き払っている。
ルルーシュの勘がよくなったのか、
若しくは自分自身がルルーシュに対して気を許してきている証拠なのか。
瞬時には判断が付きかねたのでスザクは素直に口にした。
声をかけられてもスザクの顔を見ることもなく
ルルーシュの指は止まらず動き続け、
紫石英の双眸はモニターを見つめていたが、
漸く顎を僅かに上げて動きは止まった。
目の前のデータを確認しながら
ルルーシュは自分だけの世界からスザクの元へと歩み寄る空気を作り、
スザクもそれを見逃さずもう一度聞いた。
「どうして吃驚しなかったの?」
「御前、今日はどこを散歩してきたんだ?」
「…?どういうこと?」
「今日は式根島の基地修繕作業の視察に行ってたんじゃなかったのか?」
「そうだけど……」
「視察に行くのに着替えなかったのか?
まぁユフィはそういう所には拘らなさそうだが」
……。
確かに視察には行ったけれど、
政庁に到着した途端、時間がないと急かされ着替えなかった。
けどそれと今驚かなかった事と、どう繋がるんだろう?
話題を変えた?否、そういうのじゃない気がする。
ルルーシュが問いに答えないなんてありえないし。
C.C.に“賢い”と評されたスザクであったが、
話の流れがどこへ向かっているのか理解ができずに
スザクの不思議そうな顔は続く。
「政庁に着いた途端に「時間がない」って制服のまま連れて行かれたんだ。
何か副総督の僕が必要じゃない方の政務が滞ってらしくて」
「フン、ユフィらしいな」
「でも、ルルーシュ。それと今とどう繋がるの?」
本気でわからないとスザクの顔には書いてあり、
「自分のことはわからないと言うからな」と呟いて
またスザクの頭にクエスチョンマークを増やしたルルーシュだったが、
少し間を空けて立っているスザクを手招きした。
「金木犀、別名桂花・丹桂は古くから中国、今の中華連邦では、
天上の花、月宮殿の花とされたらしい。
それにはこんな伝説があるからだそうだ。
月には桂花の大木があって、秋の半ばに
月が金色に輝くのはこの花が満開になるから、と。
ある中秋の名月の夜、月人は月宮殿の窓辺から下界を見下ろしていた。
眼下は杭州の西湖、水面に金色の波が砕けてそれは美しい眺めだった。
花盛りの桂花の幹を叩いて拍子をとると、花が雫のようにこぼれ落ち、
月人は地上にもぱらぱらとこぼしてやった。
そのおかげで地上にも桂花が根づいた、と。」
ルルーシュは立ち上がって視線をスザクに置いたまま
上着のポケットを探り、そっと手のひらを広げる。
スザクの鼻腔を懐かしくて暖かい香りが擽り、
導かれるままに視線を落とすとルルーシュの手のひらには
眩しい太陽のようなオレンジ色の小振りな花弁が乗っていた。
くすりと微笑したルルーシュ、スザクを惹きつけてやまない表情のひとつ。
穏やかな心地好い風を受けて自然と表れる微笑み。
ルルーシュはその表情を崩さぬままに月人の仕草で手のひらを僅かに傾ける。
その瞬間に周りにある人工物はなくなり、辺りは優雅な月宮殿へと変わる。
煌びやかであるが落ち着いた色調と調度品の数々。
そこにいるのは艶やかな黒髪でこの世にひとつとない紫石英の双眸の少年。
息を呑む美しさ、山紫水明を人で示せというならば紛うことなくその人。
彼は感嘆の表情を浮かべた後、微笑みながら下界へとあはれみを施す。
桂花はひらひらと舞いながら水面へと散り、
小振りで遠慮がちな花弁は月に照らされて、
そこだけが暖かく温度を持ち、浮かび上がって見えた。
「・・・・ク・・・ザク・・・・・・・・・スザク?!」
「あ、ごめん」
「・・・・香りに・・酔ったのか?」
焦点が合うと、少し心配を含みながら笑うルルーシュが見えた。
ルルーシュはいつもと変わらぬルルーシュで。
ボタンを二つ開いたシャツは月の光に照らされて少し青く見えるものの、
制服の下に着用している、自分も着ているシャツを着たルルーシュで。
「…、そうかもしれない」
少し口惜しそうにスザクは笑って見せたが、
半分本気で心配しているルルーシュに違う笑いがこみ上げてくる。
「人が心配してやっているのに、何だその態度は!」
「ご、ごめんごめん。でもルルーシュにも見せたかったよ」
笑いを堪えながら、スザクは拗ねてどこかへ行ってしまう前に
ルルーシュの手を取った。
「何をだ?」
訝しげに問うルルーシュに、
スザクは月に行ったことは胸にしまって鍵をかけ、
当たり障りのない地上の話をした。
「基地の状況確認の後に、天気もいいし気持ちいいから折角だって
副総督が少し島を回りたいって我侭を言い出してね。
タイムスケジュールがあるからって側近たちは反対したんだけど、
意外に抵抗し始めて…嗚呼いつものか…って皆わかってるみたいで」
「実際、コーネリアより厄介だからな、ユーフェミアは」
「それで、同行を拒んだ事務官たちを残して散歩してたら、
柔らかい芳香とともにすごく大きなオレンジ色が目の前に現れた」
「金木犀があったんだな、式根島に」
「そう。本土にもあるし。
何だか懐かしくてオレンジ色の絨毯の上へ屈んだら、
お姫様から不意打ちのシャワーを浴びせられて…」
「花弁のシャワーなんて綺麗じゃないか。
それにユーフェミアは・・・まだ16だからな」
「フフ、まぁそうなんだけど。
その時じゃないかな。ポケットに花弁が迷い込んだのは。
こんなに大量だとは思わなかったけど・・・・・・
・・・・・・それで僕が近寄っていっても驚かなかったわけだ」
見るとルルーシュはプールの浮かんだ金木犀を見つめていて、
屈んで水面に指を沈め、ゆっくり波を立て塊をかき混ぜた。
「絵に描いたような幸せな景色だな」
「ルルーシュ?」
「羨ましいよ、ユフィが」
「・・・」
波は少しずつ大きくなり、波の上の絨毯は渦をまきながら散り散りになった。
疾風怒濤。まさしく。
「ルルーシュ、今度、租界の外に行こうよ。近々は無理かもしれないけど。
あ、枢木神社ならすぐに行けるよ。
あそこはまだ自然が残ってるし、散歩できる所も残ってるよ。
……それとも、作戦で郊外に行った時に一緒に散歩する?」
「日本人を率いて神聖ブリタニア帝国に反逆しているゼロと
神聖ブリタニア帝国エリア11の副総督にして
第三皇女ユーフェミアの騎士、枢木スザクが
一緒に並んで散歩できるわけがないだろう?!」
「…そうだよね」
「莫迦だ、御前は。下らないことを言うな」
ルルーシュは呆れながら、怒りながら、泣いているように見えた。
このまま月へと帰ってしまう彼の人を思い出し、
「まだ少し時間はかかるけど、すぐそこだよ、ルルーシュ」
スザクの作った波紋が広がり、ルルーシュの手の上にスザクの手が重なった。
浅く水に沈んで重なった指が折り込まれて結ばれる。
「・・・そうだな」
繋がれた二つの手を見つめてルルーシュは小さな声で相槌をうった。
プールの浄水の音と、広がるオレンジ色の花弁。
結ばれた手・・約束。
そう、まだ途中だ。
前途遼遠ではあるけれど、希望がないわけではなく、
成し遂げれられなかった事など何もないと、その言葉を胸に進む。
幸せはその先にあるのだから。
「ルルーシュ?」
「なんだ?」
「ナナリーを連れていくのは2回目以降だよ。1回目は僕と君、二人だけ」
「何故だ?」
「そういうものだから」
「…?・・・・・・・・わかった」
スバラシク書き進み、佳境を向えた時にアッシュフォード学園の制服にはポケットが見当たらない…という致命的なコトに気がつきました。驚愕の事実に(つかちゃんと観直せよ…)声なき叫びをPCの前であげましたが、1日置いてからしょうがねぇ!捏造は捏造だ!と、でっかく開き直りました(笑、っておけ)
と、いうことですみませんでした!(土下座)
それにしても、、、スザクってどんだけルルが好きなんだ!!!!…否、あたしか(爆死)
周りは静けさに包まれ、静寂を保っている。
その中、聞こえるのはノートパソコンのキーを叩く音と水を掻く音だけ。
同じ場所にいても、個々を保っている二人は
一見、知らぬ同士の二人に見えるけれど、
この夜の帳の静けさの中、二人でいるのに知らない者同士であるわけはなく。
随分前から信じているのは己だけ。
そんな二人だから、この空気なのだろう。
「 」
パソコンのモニターに目をやっていたルルーシュが、
世界を皮肉った顔を浮かべた。
その様子を水に身体を任せたC.C.が醒めた双眸で見ていた。
可愛い顔をしているのに、
また、善いこと=世間一般で言う善くはない事を思いついたのか、
もしくはルルーシュを喜ばせる善いニュースを見たかのどちらかなのだろう。
けれど、そのどちらも特にC.C.に対して何かをもたらすことはなく、
ルルーシュがヘマをしなければ気にする必要もない。
必要だと言われるまでは何もしない、するつもりもない、から。
力を与え、その選ばれし者の望みが叶い、
そして自身の望みを叶える、それがC.C.
最近は新たに駒が増えたと、本人は隠しているつもりなのだろうが
あからさまに嬉しそうに話していたな…そういえば。
しかし、その駒はルルーシュに扱いきれるのかどうか。
というよりも、もうすでにルルーシュ自身がうまく扱われているということに
本人は気がついていないようだがどうなることか…。
まぁ、そんなことを私が心配しないでも、
その駒は賢いうえにルルーシュを窮地に貶める事は
決してないだろうから、どうにでもなるだろう。
そこまで思って、C.C.は口角を僅かに上げた。
悩み、苦しむのは勝手に任せておけばいいだろう。
身体を回転させて底まで潜る。
水は透明で澄んでいるが、照明を落としているせいで浅いプールでも
底に行くほど、暗く黒く。
瞳を閉じる。
このまま底の底まで堕ちていければ、どんなにか…。
莫迦な事を。
自嘲ぎみに笑って水面から顔を出す。
そろそろ退散しておこう。
駒の登場だ。
予感がして、C.C.はルルーシュに声もかけることをせずに
プールから立ち去った。
住居であるクラブハウスからここに来たのは、
C.C.の「泳ぎたい」という一言から始まった。
何故、こんな時間に…というルルーシュの問いは綺麗に無視され
「水着を用意しろ」
「早く行くぞ」
C.C.はその二言のみで、退くことはなく、
ブツブツと文句を並べながらも
所詮、女子と身内には甘いのがルルーシュだった。
「御前はいったいどこからこの水着を調達したんだ?」
用意をさせたにも関わらずのC.C.の変質者を見るような言葉と視線と
「ありがとうの感謝の気持ちをどうして素直に表せないんだ」
というルルーシュの諦めと呆れた声と顔のやり取りの後、
二人は揃ってプールにやってきた。
中に入ると水を循環させるモーターの僅かな音以外には何も聞こえず、
窓から射す月光に照らされたプールは意外にも落ち着く空間だった。
ルルーシュがそう思ったことを察したのか、
C.C.は嬉しそうな、少し勝ち誇ったような顔をしていて、
目が合ったルルーシュは眉をひそめつつも少し笑った。
少し前、水音でC.C.がプールから上がったことはわかったが、
その背中に声をかけることはしなかった。
どこへ行くのかと聞いても、どこへも行く所はない。
「着替えに行く。御前もついてきたいのか?」などと
からかわれるしかないのだから。
満足したんだろうと推測し、
ルルーシュは普段は決して見せないC.C.に対しての笑顔を見せた。
作業を続けてパチパチとキーを叩く音が響く中、
ふわりと柔らかい香りにルルーシュは包まれた。
香りはどんどん濃厚になり、そして最初に感じた香りと同じ位の優しさで
ルルーシュの左肩にスザクの手が置かれる。
「任務はもう終わりか?」
「うん。…あれ?驚かないの?」
ルルーシュの問いに素直に答えたスザクだったが、
不思議そうな顔をして今度はスザクが問う番になる。
実はまったくの無意識ではあるが日頃の癖なのか習慣は恐ろしいもので、
スザクは音ひとつ立てず、気配を殺して歩いてきたはずで…。
いつもなら「驚かすな」と叱責されるシーンであったのに
ルルーシュは驚くこともなく、妙に楽しげではあるが落ち着き払っている。
ルルーシュの勘がよくなったのか、
若しくは自分自身がルルーシュに対して気を許してきている証拠なのか。
瞬時には判断が付きかねたのでスザクは素直に口にした。
声をかけられてもスザクの顔を見ることもなく
ルルーシュの指は止まらず動き続け、
紫石英の双眸はモニターを見つめていたが、
漸く顎を僅かに上げて動きは止まった。
目の前のデータを確認しながら
ルルーシュは自分だけの世界からスザクの元へと歩み寄る空気を作り、
スザクもそれを見逃さずもう一度聞いた。
「どうして吃驚しなかったの?」
「御前、今日はどこを散歩してきたんだ?」
「…?どういうこと?」
「今日は式根島の基地修繕作業の視察に行ってたんじゃなかったのか?」
「そうだけど……」
「視察に行くのに着替えなかったのか?
まぁユフィはそういう所には拘らなさそうだが」
……。
確かに視察には行ったけれど、
政庁に到着した途端、時間がないと急かされ着替えなかった。
けどそれと今驚かなかった事と、どう繋がるんだろう?
話題を変えた?否、そういうのじゃない気がする。
ルルーシュが問いに答えないなんてありえないし。
C.C.に“賢い”と評されたスザクであったが、
話の流れがどこへ向かっているのか理解ができずに
スザクの不思議そうな顔は続く。
「政庁に着いた途端に「時間がない」って制服のまま連れて行かれたんだ。
何か副総督の僕が必要じゃない方の政務が滞ってらしくて」
「フン、ユフィらしいな」
「でも、ルルーシュ。それと今とどう繋がるの?」
本気でわからないとスザクの顔には書いてあり、
「自分のことはわからないと言うからな」と呟いて
またスザクの頭にクエスチョンマークを増やしたルルーシュだったが、
少し間を空けて立っているスザクを手招きした。
「金木犀、別名桂花・丹桂は古くから中国、今の中華連邦では、
天上の花、月宮殿の花とされたらしい。
それにはこんな伝説があるからだそうだ。
月には桂花の大木があって、秋の半ばに
月が金色に輝くのはこの花が満開になるから、と。
ある中秋の名月の夜、月人は月宮殿の窓辺から下界を見下ろしていた。
眼下は杭州の西湖、水面に金色の波が砕けてそれは美しい眺めだった。
花盛りの桂花の幹を叩いて拍子をとると、花が雫のようにこぼれ落ち、
月人は地上にもぱらぱらとこぼしてやった。
そのおかげで地上にも桂花が根づいた、と。」
ルルーシュは立ち上がって視線をスザクに置いたまま
上着のポケットを探り、そっと手のひらを広げる。
スザクの鼻腔を懐かしくて暖かい香りが擽り、
導かれるままに視線を落とすとルルーシュの手のひらには
眩しい太陽のようなオレンジ色の小振りな花弁が乗っていた。
くすりと微笑したルルーシュ、スザクを惹きつけてやまない表情のひとつ。
穏やかな心地好い風を受けて自然と表れる微笑み。
ルルーシュはその表情を崩さぬままに月人の仕草で手のひらを僅かに傾ける。
その瞬間に周りにある人工物はなくなり、辺りは優雅な月宮殿へと変わる。
煌びやかであるが落ち着いた色調と調度品の数々。
そこにいるのは艶やかな黒髪でこの世にひとつとない紫石英の双眸の少年。
息を呑む美しさ、山紫水明を人で示せというならば紛うことなくその人。
彼は感嘆の表情を浮かべた後、微笑みながら下界へとあはれみを施す。
桂花はひらひらと舞いながら水面へと散り、
小振りで遠慮がちな花弁は月に照らされて、
そこだけが暖かく温度を持ち、浮かび上がって見えた。
「・・・・ク・・・ザク・・・・・・・・・スザク?!」
「あ、ごめん」
「・・・・香りに・・酔ったのか?」
焦点が合うと、少し心配を含みながら笑うルルーシュが見えた。
ルルーシュはいつもと変わらぬルルーシュで。
ボタンを二つ開いたシャツは月の光に照らされて少し青く見えるものの、
制服の下に着用している、自分も着ているシャツを着たルルーシュで。
「…、そうかもしれない」
少し口惜しそうにスザクは笑って見せたが、
半分本気で心配しているルルーシュに違う笑いがこみ上げてくる。
「人が心配してやっているのに、何だその態度は!」
「ご、ごめんごめん。でもルルーシュにも見せたかったよ」
笑いを堪えながら、スザクは拗ねてどこかへ行ってしまう前に
ルルーシュの手を取った。
「何をだ?」
訝しげに問うルルーシュに、
スザクは月に行ったことは胸にしまって鍵をかけ、
当たり障りのない地上の話をした。
「基地の状況確認の後に、天気もいいし気持ちいいから折角だって
副総督が少し島を回りたいって我侭を言い出してね。
タイムスケジュールがあるからって側近たちは反対したんだけど、
意外に抵抗し始めて…嗚呼いつものか…って皆わかってるみたいで」
「実際、コーネリアより厄介だからな、ユーフェミアは」
「それで、同行を拒んだ事務官たちを残して散歩してたら、
柔らかい芳香とともにすごく大きなオレンジ色が目の前に現れた」
「金木犀があったんだな、式根島に」
「そう。本土にもあるし。
何だか懐かしくてオレンジ色の絨毯の上へ屈んだら、
お姫様から不意打ちのシャワーを浴びせられて…」
「花弁のシャワーなんて綺麗じゃないか。
それにユーフェミアは・・・まだ16だからな」
「フフ、まぁそうなんだけど。
その時じゃないかな。ポケットに花弁が迷い込んだのは。
こんなに大量だとは思わなかったけど・・・・・・
・・・・・・それで僕が近寄っていっても驚かなかったわけだ」
見るとルルーシュはプールの浮かんだ金木犀を見つめていて、
屈んで水面に指を沈め、ゆっくり波を立て塊をかき混ぜた。
「絵に描いたような幸せな景色だな」
「ルルーシュ?」
「羨ましいよ、ユフィが」
「・・・」
波は少しずつ大きくなり、波の上の絨毯は渦をまきながら散り散りになった。
疾風怒濤。まさしく。
「ルルーシュ、今度、租界の外に行こうよ。近々は無理かもしれないけど。
あ、枢木神社ならすぐに行けるよ。
あそこはまだ自然が残ってるし、散歩できる所も残ってるよ。
……それとも、作戦で郊外に行った時に一緒に散歩する?」
「日本人を率いて神聖ブリタニア帝国に反逆しているゼロと
神聖ブリタニア帝国エリア11の副総督にして
第三皇女ユーフェミアの騎士、枢木スザクが
一緒に並んで散歩できるわけがないだろう?!」
「…そうだよね」
「莫迦だ、御前は。下らないことを言うな」
ルルーシュは呆れながら、怒りながら、泣いているように見えた。
このまま月へと帰ってしまう彼の人を思い出し、
「まだ少し時間はかかるけど、すぐそこだよ、ルルーシュ」
スザクの作った波紋が広がり、ルルーシュの手の上にスザクの手が重なった。
浅く水に沈んで重なった指が折り込まれて結ばれる。
「・・・そうだな」
繋がれた二つの手を見つめてルルーシュは小さな声で相槌をうった。
プールの浄水の音と、広がるオレンジ色の花弁。
結ばれた手・・約束。
そう、まだ途中だ。
前途遼遠ではあるけれど、希望がないわけではなく、
成し遂げれられなかった事など何もないと、その言葉を胸に進む。
幸せはその先にあるのだから。
「ルルーシュ?」
「なんだ?」
「ナナリーを連れていくのは2回目以降だよ。1回目は僕と君、二人だけ」
「何故だ?」
「そういうものだから」
「…?・・・・・・・・わかった」
スバラシク書き進み、佳境を向えた時にアッシュフォード学園の制服にはポケットが見当たらない…という致命的なコトに気がつきました。驚愕の事実に(つかちゃんと観直せよ…)声なき叫びをPCの前であげましたが、1日置いてからしょうがねぇ!捏造は捏造だ!と、でっかく開き直りました(笑、っておけ)
と、いうことですみませんでした!(土下座)
それにしても、、、スザクってどんだけルルが好きなんだ!!!!…否、あたしか(爆死)
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