児戯

暗くないけど、暗いです（どっちだよ…）
とりあえず、ロイドが独白ってます。

 

僕らは夢でできている
夢は僕らでできている

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自分と自分以外。
とても単純な基準。
とても単純な分類方法。

　　　　　とても残酷で、とても悲しい------。

シンプルで、わかりやすい。
自分には共感できる基準だ。

人間は誰でも独りで生まれてきて、独りで死んでゆく。
同じような感情や感覚を持つことはあっても、
それは“ような”であって、決して同じではない。

だから、彼の、すべてにおいての基準が

自分と自分以外

つまり、決して他者とは交わらず、
線引きがはっきりしている、
そうであると知ったとき、
付き合える相手だと思った。

なれあいなど、面倒だ。

別に、人間が嫌いであるとか、そうではない。
不必要な接触が面倒くさい。それだけ。

人間は奇妙で、本当に面倒くさい。
しかも、脆い。
厄介な物。

だから、彼といることは楽だった。

“自分以外”に分類される自分に、
色々な鬱陶しい感情を向けてくることはなかったから。

シュナイゼル・エル・ブリタニア

それが、僕にとって初めて付き合えた人物の名前。

言わずと知れたブリタニア帝国の第二皇子。




どちらが言い出した事だったか。
どちらが仕掛けた事だったか。
もう忘れてしまった。

気がついたら、友人という名の枠は超えていた。

そうは言っても、最初から自分と彼の関係性は
“友人”と呼ぶそれだったのかさえもわからない。

けれど、世間一般の---自分以外の人たちにとって---
友人同士は、体を重ねたりはしないだろうから、
その枠は外れた事になる。

かといって、“恋人”と呼べる関係でもない。
好きな時に求めて、
満足するまで求めて、
それだけ。

おしまい。

お互い、相手に不自由はしない。
けれど、彼（自分）ほど、何の後腐れなく
自己の性の処理を簡単に済ませてしまえる相手などいなかったから…。
そして、相性。
互いが申し分ないと認めているから、余計に。

自分が組み敷かれる側な事に最初は異論があったが、
快楽、
味わってしまえば、それはそれ。
換えようとは思わなくなった。
体格から考えれば、当然の事だろうし。




そうして、今、
お戯れ、の後に自分はベッドに残されている。

相変わらず、無茶をされた。

基本的に彼はＳ属性だから、しょうがない。
「人の身にもなってよ」
言ったとて
「すまなかった」
薄っぺらい一言が返ってくるだけ。

「あ～あ、これじゃあまた当分は開襟シャツは着れないなぁ…」

まだ湿っている気がする室内に
自分の乾いた声。

喉が渇いた。
けれど、今は体がいうことをきいてくれない。
気力さえもない。
だるい。
眠い。

・・・。
諦めて目を瞑る。

瞬間、ドアが開く。
視線をやると、
入ってきたのは、先ほどまでのセックスの相手。

「どうしたの？」
問うのも面倒で、視線だけ送る。

彼は、冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し
ベッドのサイドテーブルの上、眼鏡の横に置くと、
すっと僕の頬に手を滑らせてから、出て行った。




・・・・・。
甘くなったよね。
駄目だよ、そんな関係じゃないだろ？
勘違いも甚だしいよ。
唯一、
そんなもの、後々邪魔になるだけだよ。
貴方はもっと賢い人のはず。
駄目だよ、その他と同じようになるなんて。
飽きるじゃないか、僕が。

飽きるじゃないか、貴方が。


そんなの…。