一衣帯水

今回は9.134くらいでしょうか？（笑）



期待しないでくれ。
そんなにいい人じゃない。

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「野暮用だ」
そう言って朝から一人でどこかへ出かけていったロックオンが
島に戻ってきたのは、夜も遅くなってからからだった。
マイスターが一人で行動することは、特に珍しいことじゃない。
むしろ当たり前の事。
ただ、ここの所、ロックオンは何かにつけて自分に纏わりついて
離れようとしなかったから、気が抜けたというか、
少し…気になっただけで…。
奴が何処に行こうと何をしようと、俺には関係ない。
ただ、ずっとそこにあった物がふっと消えていたら、
誰しも気にしてしまう、そんな感じで・・・。 



今日のアイルランドは、生憎の雨だった。
いつの頃からか泣かなくなった自分の代わりに
空が泣いてくれているのかもしれない。
そんな風に考えて、少しセンチすぎるか…。笑う。
気になる事はあったが、今はそれを考えている場合ではない。
これから久々に宙にあがる。気合いれなきゃな・・・。



与えられた部屋の扉の前に人影がある。
誰だ…？
近づいていくと、影が浮かび上がる。
相変わらずの無表情。仏頂面。

「どうした？こんなトコで。子どもは寝る時間だろ？」

そう少し微笑んで言うと、
刹那は一瞬ムッとした表情を見せ、
それを確認したロックオンは顔を綻ばせる。
対称的。
対照的。

「子ども扱いするな」

驚いた表情を見せたのはロックオンだった。
珍しいな、刹那が思いを口にするなんて…。
声に抑揚はなかったけれどあまりない事であったから、
ひとまず、頭をかきながら、謝る。

「すまなかった」

「・・・・・」

素直に謝った後で、ロックオンはふと我に返る。
たいがい甘いよな、俺も。焼きが回った…、いや、相手が刹那だからか。
一人で思考を巡らせる。
その間、刹那は身動きもせずに壁を見つめていた。
いつもの事、だけれど、少し寂しそうに見えるのは錯覚だろうか。
居ない間に何かあったのか？そう思うが、
ストレートに聞いても、きっと答えが返ってくるわけもなく…。



「そこに何が見える…？」

「・・・・、何も」

「そうか」



「アイルランドは雨が降ってた」

「アイルランド？」

言葉に合わせ、刹那はロックオンを見上げる。
瞳の奥が揺らぐ。
続きを待っている。

「俺の故郷」

「故郷・・・？　　機密事項だろ」

「そうだけどな」

秘密な…ロックオンは口に人差し指を当てながら
刹那にウインクを送る。

「聞かなかった事にする」

そう言った後、刹那は下を向いた。

動揺まではいかなくとも、ちょっとは反応くれてもいいのになぁ。

廊下の照明は暗く、下を向いてしまった刹那の顔はよく見えない。
ロックオンがそんな風に思ってしまったのはしょうがない。

もう少し明るければ、ほんの僅か、刹那の表情が緩んでいる事が
彼にはわかったかもしれないけれど。


「刹那、今日も飲むか。ま、オマエはミルクだけど」

「・・・・・」

「今日はホットミルクにするか？」

「子ども扱いするな」

クッと笑った後、また謝ったロックオンだったが、
次の瞬間、笑みを消して
刹那の腕を強く掴み、ロックオンは呟いた。

「刹那、死ぬな。生きろ」

「・・・・・・・頼まれなくてもそうする」

刹那の言葉に目を瞠る。そうきたか…。
鷲掴みされるはずだな、俺。
ロックオンは苦笑いしながら、
刹那の肩に手を回して部屋に入っていった。



言葉が欲しいわけじゃない。
想いが欲しいわけじゃない。
ただ、そこに、側にいる。
それでいい。

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和三盆を目指していたんですが、ちょっと微妙な気がします（汗）

…これからもえろは書くつもりがありませんが（到底あたしには無理）
録音は、えろの時に刹那に本名を言わせてるといい。
そう思ってうへうへしています（爆）