ANUBIS

死ネタです。
24.5終わりです。

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目の前に鮮血を流している倒れている人間がいる。
それは紛れもなく、先ほどまで自分と話をしていた人物。
腹部から、口から血を吐き、崩れ落ちた後、
全く起き上がる気配もなく、ただそこに横たわっている。


スザク。彼の名前だ。





彼だけは生きて欲しかった。自分の唯一であったから。
この執着を何と呼ぶのか、その名前を自分は知らなかった。
それを知ったところで、もう一つの唯一、糧である者に敵うはずもなかった。

今更、後悔していると、
現在（いま）を、したことの結果を後悔していると言うのか。
莫迦らしい。

けれど、わかっていながら、
自分の目の前の光景を無かったものにしたかった。



ただただ、己の存在を否定されたことに驚愕し、痛嘆し、
そして血が沸騰した。

プライドだろうか。
皇族として生まれた、皇子としてのプライドか。己自身のプライドか。
それは今はもうわからない。



これまで全く後悔することがなかった、ということはない。
イレギュラーな事が起こることはあった。
其の度に、次はどうすれば良いのか考え、立ち止まることをせず前に進んできた。
それなのに、
今はどうすればよかったのかと考え、振り返っている自分がいる。

情けない。
けれど、どうしようもない塊を抱えた自分がいる。


翠玉の瞳はもう何も映さず、自分の名を呼び微笑んでくれることもない。


この不可思議な現在（いま）を取り消すことなどできない。
過去は過去。終わってしまったこと。



そっと、もう動くことがない身体を抱き起こす。
開かれたままの美しい翠玉色の瞳に自分を映しこむ。

最期に、スザクが映したものが自分でよかった。
最後に、スザクが映したものが自分でよかった。




涙を零しながら微笑する少年が儀式のようなそれを終え、
スザクの瞳を閉ざした。

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変なプライドが目の前を塞ぎ
上手く歌えない

はじめからパズルを作り直しても
思い出せない　大切な言葉

無理矢理自分を消してしまえれば
きっと楽になれる

頭の中に住み着いている声
終わりを飾る　第三の言葉

あの時には帰れない　誤ちさえ帰せない

あの時には戻れない　誤ちさえ戻せない

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